みなさん、こんにちは。本日は大変お忙しい中、多くの皆様方にお集まりいただきました。誠にありがとうございます。新事業創造カンファレンスの開催にあたりまして、一言ご挨拶を申し上げたいと思います。わたくし、ただいまおっしゃっていただきました経済産業大臣政務官の井原と申します。ちょうど今、国会の開会中でありまして、大臣が本当は来たかったんですけれども、どうしても来られないということで、私が代わりにお邪魔をさせていただきました。
政府の成長戦略であります、日本再興戦略と申しますが、では、産業の新陳代謝とベンチャーの加速化、というものを政策の柱として掲げているところでありまして、我が国に、ベンチャーエコシステムを構築するということといたしております。若い芽がですね、次々と育ち、その大木と共存共栄する豊かな森のように、経済社会にインパクトを与える、新しい企業が次々と生み出され、革新に挑戦する大企業と共に、栄える社会を築き上げることを、日本政府は目指しているところでございます。 この実現に向けまして、本年4月の日本経済再生本部におきまして、「ベンチャー・チャレンジ2020」を決定致しました。2020年までのベンチャー支援の道筋を示したところでございます。これまで、それぞれの縦割り行政ということでありましたから、各省庁や関係機関がそれぞれ個別に実施していたベンチャー支援策を連動させまして、有望なベンチャー企業の発掘から世界市場への挑戦まで、ベンチャーを応援するあらゆる機関が、一気通貫で支援する体制を構築いたします。経済産業省におきましても、昨年度、安倍総理がシリコンバレーで発表いたしました、「シリコンバレーと日本の架け橋プロジェクト」を初めとして、様々な新しい政策により、産業の変革の騎士たるベンチャーが、果敢に挑戦することを、今後とも支援してまいりたいと存じます。
本日のカンファレンスは、産学官の主要なメンバーが参加するベンチャー創造協議会、オープンイノベーション協議会と経済産業省が共同で開催し、ベンチャーと大企業との連携促進、オープンイノベーションの推進を図るものであります。ベンチャーは、大企業の経営資源やネットワークを活用して、大きな成長軌道を、大企業はベンチャーのイノベーションの種やスピードを活用して、新しい発展を、企業と投資家、大学関係者など様々なプレーヤーとのつながりによりまして、イノベーションの進展を、この機会を大いに活用していただきまして、大企業、ベンチャー、投資家、大学関係者との意義深い出会いの場にしていただきたいと思う次第でございます。
私は、国会議員になる前はですね、遠い四国の、田舎の首長をずっとしていたわけでありますけども、私の町は、紙というですね、古い素材でもありますけども、紙と製紙という紙の生産量日本一の田舎の町でございます。ただまあ、四国という辺鄙なところにありながら、紙産業が発展したわけでありますけども、まあそれがクラスターを形成してですね、大きな製紙会社、大王製紙っていうのがございますけども、そこから紙加工でユニ・チャームという会社が生まれて、これも本社が私の市にあるわけですけども、またそこから、加工やさまざまな大企業とマッチングしたベンチャーの企業が発展しておりまして、今では、紙加工の方が、はるかに大きな数少ないベンチャー企業として活躍している町でありまして、やはりベンチャー企業が育つことが、この国の発展に必ずつながるというふうに、確信をしているところであります。
大事をなすときといいますか、創業のときには、まさに船が岸壁を離れるときとか、あるいは航空機が離陸するとき、最も大きなエネルギーが必要でありますし、そして、その方法を誤ってはなりません。是非、皆さま方も今日のこのカンファレンスを通じていただいて、有意義な会にしていただき、また私たちも全力で応援をしてまいりたいと存じます。このカンファレンスが、皆さまの新しい取組みへのヒントのきっかけとなり、 具体的な行動につながっていくことを、そして、その積み重ねにより、産業の新陳代謝や新事業の創造が進むことを祈念いたしまして、わたくしのご挨拶とさせていただきます。今日は本当にありがとうございました。よろしくお願いいたします。
【概要】
「メルカリ海外躍進の展望」では、株式会社WiLの久保田パートナーが、この夏、米国ユーザー数を飛躍的に成長させた株式会社メルカリの長澤CFOより、海外市場攻略の展望を伺った。
【スピーカー】*写真左から
株式会社WiLパートナー 久保田雅也氏
株式会社メルカリ執行役員CFO 長澤 啓氏
400億円ほどのベンチャーキャピタルファンドを運用しており、メルカリにも出資をし、日々成長を実感している。
フリマアプリ事業を運営している。リアルのフリマをスマホ上に置き換えたもので、中古品をスマホで写真をとってスマホ上で売却していただく。スマホにフォーカスしてより容易に売買する仕組みを構築した。この会社に入ったのは1年程前である。
メルカリは海外進出先として、何故真っ先に米国を選んだのか。スタートアップ企業と話しているとアジアが進出先としてよく出てくるが。
グローバルマーケットでNo1をミッションとしている。米国は最大市場で、そこで勝利を収めること。サービスの特徴は配送して決済する仕組みにある。そのサービスの特徴をアジアで発揮しようとするとインフラ整備の観点でまだもう少し時間がかかる。アジアは、決済や物流のインフラが遅れており、米国ではインフラも提供できるし、市場規模も大きいことから勝てば更に成長できる。ベンチャーはリスクがあっても大きな勝利を目指していけるというのがメリットである。
どのような人を採用するかは共通の悩みである。また、日本から連れて行けるのかとか、公用語は英語なのかとか、様々な悩みがあると思うが。
海外進出を早い段階からプランニングし、米国で事業運営の経験が豊富な石塚と言う者(現US CEO)が中心となり立上げを行った。プロダクトやサービスの内容によるが、米国のユーザーの行動は日本人とは異なり、日本人だけではうまくいかない。スマホ上での見え方や送信の仕方はローカルのプロダクト・マネージャーが行い、実際にコードを書いてプロダクトを作り込むところは日本からエンジニアを派遣して行った。シリコンバレーのエンジニアの人件費は高い。
スタートアップ時には、ストックオプションが採用の強力な武器となるが、事業価値を日本事業が多くを占める場合に米国スタッフに自身の貢献がわかりにくいなかで、どのように成果と連動させるのか。また、ストックオプションの議論が出ると、本社を米国に置くという話が出るが、米国に本社を移すという考え方はなかったか。
米国の従業員に対して、日本の株式のストックオプションの価値はわかりにくいが、きちんと説明をして従業員に対しストックオプションのインセンティブを持ってやって欲しいと話している。本社をどこに置くかについては、あるタイミングで検討したが、USにどう権限を与えるかが難しい。現在は100%US子会社なので、意思決定には本社が関わるが、フラットに運営している。
日本の何倍も激しい競合に晒される米国という市場でうまくいっている理由は何か。
最近ではiphoneのアップルストアのランキングで3位まで上がったことがあり、広告をしたのかと聞かれた。実際は、他のソーシャルネットワークなどでの口コミの効果が大きい。これは、ソーシャルサービスの特徴でもあり、インターネットサービスは面白い。
日本的な細かいサービスの改善を続けて、あるタイミングでユーザーの支持を獲得したというのが現状か。
米国でも常に改善し続けてきており、サービスレベルが上がってきた。また、日本でこだわっているカスタマーサポートによるクオリティの高さが安心に繋がっており、米国でもこの日本型のシステムが応用できる。
メルカリなりのケースでよいので、ベンチャーを目指す人へのアドバイスがあればお願いしたい。
現状に満足していないが、無難にやってもしょうがない。事業を進めながらチューニングすることが多いが、特にインターネットの世界では経営判断の速さが重要であり、それがベンチャーの強みである。大企業と比べるとベンチャーのキャリアは浅いが、ベンチャーと大企業の垣根は取り払われている。人材が流動化すると勝率が上がり、世界で勝てると思う。
我々WiLは何故、大企業の資金を預かっているかというと、大企業の資本とのアライアンスでベンチャーがスケールする上での色々な部分をショートカットできるのではないかと考えており、連携を促進している。日本はグローバルに展開する立派な会社、サービスの歴史があり、そのリソースと知見を利用していくことはグローバル化への一つの有効な手立てと思う。グローバルを目指すのは、べき論ではなく、ロジックで説明できない、起業家のアスピレーションに依るところが大きいと思うし、そういう高い目線を持ったベンチャーをこれからも応援していきたい。
【概要】
「越境のフロンティアランナーたち~世界に羽ばたく中堅・ベンチャー企業~」では、国や文化を超えて自分達のビジネスを成し遂げるため、まさに今奮闘中の起業家の方をお招きして、成功や失敗といった結果ではなく、海外ビジネスへの「挑戦」そのものの魅力、そしてネットワークの活かし方を伺った。尚、パネリスト3名様は、昨年度の経済産業省の海外派遣プログラムに参加し、海外進出に際しての様々な知見・経験をされて、今まさにビジネス展開中の皆様である。
【スピーカー】*写真左2番目から
エス株式会社代表取締役 児玉昇司氏
株式会社DG TAKANO代表取締役 高野雅彰氏
株式会社16Lab Vice President,Product Jan Rod氏
【モデレーター】
トーマツベンチャーサポート株式会社 田中順子氏
月額一定料金で好きな時に使える会員制のバッグレンタルサービス「ラクサス」を提供している。世界38都市で事前登録を開始しており、順次サービスを展開予定である。
「Bubble90」は高い節水効果を発揮する節水ノズルである。多国籍チームを率いて、水資源に課題を抱えており、かつ国民所得が高い国を中心に、事業展開を進めている。
リング型ウェアラブルデバイスを開発している。外国籍の優秀なエンジニア社員を抱え、日本企業と共同開発。北米やヨーロッパでの事業展開や研究開発組織の立ち上げを進めている。
あつかうものがブランドバックなので、もともと海外市場も意識している。また、1都市で顧客を10万人、100万人、200万人と増やして成長させるのは困難。各都市でファッション意識が高い女性を1万人ずつ拾っていく方が、難易度が低く効率が良いと感じている。
当初から世界で通用する製品を作りたいと思って開発していた。日本は水が豊富にあるが、世界では水の取り合いになっている。日本国内だけで流通させるのはもったいない。水不足は世界中の課題、各国の市場やニーズを確かめもせずに海外に挑戦しないなんて考えられない。
(外国人として日本企業に参画した理由について)16Labには、素晴らしいアイディアや技術をチームとして活かすために、日本人と外国人開発チームの橋渡しになる存在が必要だと感じた。私が橋渡しになろうと思い、現在奮闘している。
ヨーロッパは、次の未来を切り開く製品を開発しようとしている気風があり、優秀なエンジニアがいる。実際、我々のCTOはエストニア出身である。エストニアという国自体、電子政府に熱心に取り組んでいる。アジアとヨーロッパを股にかけてシナジーを起こしていきたい。
お金があり、水不足に困っている国を中心に調査した。現在、中東の一部と米国西海岸に可能性を感じている。そんな中で、各国のカントリーリスクも実感している。日本でも、ビジネス初期に様々な困難があり、それらを乗り越えて今がある。日本で販売を始めた頃は節電の時代と言われ、水の話はなかなか聞いてもらえず、最初の数年間は非常に苦戦していたが、ユーザーに直接販売するようになってから一気に社員数が増えた。世界で市場ニーズがあるとわかっていても、社長一人の会社では広げられなかったが、やっとここまで来られた。海外市場の様々な困難も、また新たな壁が現れたなという認識なので、日本同様に挑戦していく。
国内で需要調査をした際、回答者のほとんどが「借りてまでブランドバックを持ちたいとは思わない」と否定的であった。しかし、世界の一流のデザイナーが作ったバッグに需要がないとは考えられず、この結果はエラーだと判断し、サービスをローンチしたところ予約でいっぱいになった。海外でも同調査を実施したら、マンハッタンが否定的だった。しかし、実際に昨年度の経済産業省事業で現地を視察させていただき、話を聞くと、全く逆の印象で、日本と同じ現象が起きる地域では必ず成功すると確信を得た。国は違えども、人間は共通する性質やエラーが発生するのだなと思った。
面白い事業やアイディアがあれば、社員の出身や国籍は関係ない。だから、世界中から人を集める。世界でもっとも先進的なプロダクトを作るなら、最高水準の高精度ものづくり技術を持つ日本でしか出来ないと思っている。エストニア人のCTOは著名なエンジニアとしての実績を多く持っていることもあり、ヨーロッパでも今後、開発拠点を展開していきたい。ヨーロッパは、ファッションとテックの融合にも関心があり、何よりも伝統的なものづくりの現場があるのは魅力的だと考えている。
昨年度の経済産業省事業で案内役になって頂いた方に、アメリカでの営業を任せている。また、JETROブラジルなどの経歴がある日系ブラジル人の方を採用している。海外と日本の両方の文化に精通しているので、彼を中心に留学生を新卒として雇い入れて、体制を整えている。本社では日本:海外=3:7の割合で、たまにどの国の会社が分からなくってしまうくらい多国籍なチームになりつつある。
グローバルには、グローバルの流儀があるのだなと感じている。一度日本国内でトレーニングして外国人のCEOを送ろうとしたら、失敗した。一方で、フランスのビジネススクールの優秀な外国人が突然連絡してきた。その時は、1週間後に突然来日して雇って欲しいとのことで、一週間程の出張から帰ってきたら、彼が既に働いていた。
その彼は、ビジネススクールや個人のネットワークを使って、どんどん有望な社員候補を直接スカウトしていた。また、こういった知り合いのツテで、著名なIT企業の副社長にプレゼンする機会を作ってもらった。その際に、思い付きでライドシェアを活用したいと話したところ、該当する最先端企業のCEOを紹介してもらえた。商習慣の違いや人との縁の大切さを実感している。
日本も海外も文化は異なるが人間は同じ。やる気さえあれば仲良くなれるので、どこでも活躍できる。
現在アメリカでの営業を担当している者から、年間150社以上の日系企業と会うが、実際に海外展開を決断する会社は5社しかないと聞いた。結局、やるかやらないかの違いだと思う。
メッセージというよりお願いになるが、人材が足りていないので紹介して頂けると嬉しい。加えて、今回来場の方は男性が多いと見うけるので、自分の奥さんや娘さんに「ラクサス」を勧めて欲しい。