スタートアップの経営者にとって、「効果的な資金調達方法がわからない」「現在の成長段階に最適な調達手段は何だろう」という悩みは尽きません。事業の拡大や新たな挑戦には資金が不可欠ですが、調達方法を間違えると事業の成長を阻害するリスクを抱えることになります。
この記事では、創業期から成長期まで各段階で使える資金調達の方法をくわしく紹介します。また、それぞれのメリットやデメリット、失敗を避けるためのポイントもあわせて解説するので、あなたの会社に最適な資金調達戦略を見つけられるでしょう。小規模な企業でも実践できる具体的なアドバイスをお伝えします。
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スタートアップにおける資金調達の重要性
スタートアップにとって資金調達は事業の生命線といえます。適切な資金があるかどうかで、会社の成長スピードが大きく変わります。
多くのスタートアップが直面する課題は、優れたアイデアや技術を持っていても、それを形にするための資金が不足していることです。商品開発には時間とお金がかかり、売上が安定するまでには相当な期間を要します。この間に資金が底をついてしまえば、将来性のある事業でも継続できません。
また、競合他社に先を越されるリスクも見逃せません。市場への参入タイミングが遅れると、貴重なビジネスチャンスを失ってしまう可能性があります。
十分な資金があれば、スピード感を持って事業を展開し、優秀な人材を確保することも可能になります。さらに、予期しないトラブルや市場の変化にも柔軟に対応できるため、事業の安定性が格段に向上するでしょう。
スタートアップの資金調達方法は5種類
| 調達方法 | 返済の要否 | 株式譲渡 | 調達スピード | 資金規模 |
| エクイティファイナンス | 不要 | あり | 普通(2~6ヶ月) | 大 |
| デッドファイナンス | 必要 | なし | 早い(1~2ヶ月) | 中 |
| アセットファイナンス | 不要 | なし | 早い(1~3ヶ月) | 資産次第 |
| 助成金・補助金 | 不要 | なし | 遅め(3~12ヶ月) | 小~中 |
| クラウドファンディング | 不要 | なし | 早い(1~3か月) | 小~中 |
スタートアップが利用できる資金調達方法は大きく5つに分けられます。それぞれ特徴が異なるため、自社に合った方法を選ぶことが重要です。
エクイティファイナンス
エクイティファイナンスは、会社の株式を投資家に売ることで資金を得る方法です。ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家から出資を受けるのが一般的です。
この方法の大きな利点は、調達した資金を返済する必要がないことです。また、投資家からビジネスに関するアドバイスや人脈の紹介を受けられる場合もあります。
しかし、株式を渡すということは会社の一部を手放すことを意味します。出資比率によっては経営の自由度が制限される可能性もあるでしょう。また、将来的に会社が成功した際の利益も投資家と分け合うことになるため、長期的な視点での判断が求められます。
デットファイナンス
デットファイナンスは、銀行や金融機関からお金を借りる従来的な資金調達方法です。住宅ローンと同じように、借りたお金に利息をつけて返済していきます。
この方法のメリットは、株式を手放す必要がないため、経営権を維持できることです。そのため、会社の方針や戦略を自由に決められます。
一方で、定期的な返済が必要になるため、安定した収入が見込めない初期段階のスタートアップには負担が大きい場合もあります。また、担保や保証人を求められることも多く、経営者個人が大きなリスクを背負う場合もあります。
アセットファイナンス
アセットファイナンスとは、会社が持っている資産を活用してお金を調達する方法です。具体的には、設備や不動産などを売却したり、リースバックという仕組みを使って現金化したりします。
この方法の最大のメリットは、借金ではないため返済の義務がないことにあります。また、株式を発行する必要もないので、経営権を手放すリスクもありません。
ただし、資産を手放してしまうため、将来的にその資産が必要になった際に困る可能性があります。特にスタートアップの場合、まだ十分な資産を持っていないケースが多いため、この方法を使える企業は限られるかもしれません。さらに、資産の価値が適正に評価されるかどうかも重要なポイントになります。
助成金や補助金
助成金や補助金は、国や地方自治体が事業の成長を支援するために提供する資金です。国や各都道府県などで実施される助成金や補助金は、スタートアップの資金調達の手段の1つです。
最大の魅力は、基本的に返済不要であることです。株式を手放す必要もないため、経営権を維持しながら資金を得られます。特に新しい技術開発や地域活性化に貢献する事業には、手厚い支援が用意されている場合があります。
ただし、申請から実際に資金を受け取るまでに時間がかかることが多く、すぐに資金が必要な場合には向いていません。また、使用目的が限定されていたり、詳細な報告書の提出が求められたりすることもあります。
競争が激しく、必ずしも採択されるとは限らないため、他の資金調達方法と組み合わせて検討することが大切です。
クラウドファンディング
クラウドファンディングは、インターネットを通じて多くの人から少しずつ資金を集める比較的新しい方法です。
商品やサービスの魅力を伝えることで、一般の消費者から支援を受けられます。成功すれば資金調達だけでなく、商品の宣伝効果やファンの獲得にもつながるでしょう。また、市場の反応を事前に確認できるため、商品開発のリスクを減らせます。
しかし、目標金額に達しなければ資金を受け取れない仕組みが多く、確実性に欠ける面があります。また、アイデアや商品の詳細を公開する必要があるため、競合他社に情報が漏れるリスクも考慮しなければなりません。
プロジェクトが注目を集めるためには、魅力的なプレゼンテーションや継続的な情報発信が不可欠になります。
スタートアップが資金調達する際の注意点
資金調達は事業成長に欠かせませんが、方法によって異なるリスクが存在します。事前に注意点を把握しておくことが重要です。
出資の場合:経営の自由度が制限される可能性がある
出資を受けると、投資家に株式を発行することになるため、経営権の一部を譲渡することになります。その結果、重要な経営判断を行う際に投資家の意向を考慮しなければならなくなる可能性があります。特に持株比率が高い投資家がいる場合、事業戦略や人事決定などで制約を受けることもあるでしょう。
複数の投資家から出資を受ける場合、それぞれが異なる要求をしてくることもあり、経営の方向性が定まりにくくなるリスクもあります。また、投資家との関係が悪化した場合、事業運営に支障をきたす恐れもあります。
出資を検討する際は、投資家の経営方針や価値観が自社と合致するかを慎重に見極め、経営の自由度を確保できる範囲での出資比率に留めることが大切です。
出資の場合:自社に不利な調達条件を提示される可能性がある
複数の投資家から異なる条件を提示されるケースでは、自社にとって最良の条件を提示する投資家を選ぶ必要があります。
しかし、資金調達を急ぐあまり、不利な条件で契約してしまうスタートアップも少なくありません。例えば、将来の株式公開時の優先権や、経営陣の交代権など、後々大きな影響を与える条件が含まれている場合があります。特にシリーズA以降では、契約時の交渉に関して慎重に行い、不利な条件で契約をしてしまわないよう注意が必要です。
投資契約書には専門的な条項が多く含まれているため、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。また、短期的な資金確保だけでなく、長期的な事業成長を見据えた条件交渉を心がけることが重要です。
融資の場合:厳しい審査を通過する必要がある
融資では金融機関での審査で返済可能性なども考慮して融資額が決定されるため、想定よりも融資を受けられない可能性があります。
特にスタートアップの場合、事業実績が少ないため、審査通過のハードルが高くなります。銀行は確実な返済を重視するため、売上実績や担保、保証人などを求められることが多いでしょう。
審査に時間を要することから、入金までに時間がかかりやすいのもデメリットの1つです 。資金が必要なタイミングに間に合わず、事業計画に影響が及ぶ可能性もあります。
また、返済能力がない状態で融資を受けることは困難である点にも留意が必要です。
融資を検討する際は、返済計画を綿密に立て、複数の金融機関に相談することで、調達の確実性を高めることが大切です。
クラウドファンディングの場合:SNSを通した情報拡散力が必要となる
クラウドファンディングは不特定多数の個人から資金を集める方法であるため、希望金額に達しないという結果になる可能性があります。
成功には効果的なマーケティング戦略が不可欠で、特にSNSでの情報発信力が重要な要素となります。単にプロジェクトページを作成するだけでは十分な支援を得ることは困難でしょう。
ターゲット層に効果のあるマーケティングが必要で、SNSやメディアでの告知を継続的に行うことが求められます。話題性のある内容や魅力的なリターンを用意し、継続的に情報を発信することで支援者の関心を維持する必要があります。
また、プロジェクトの詳細を公開するため、競合他社にアイデアが知られるリスクもあります。
クラウドファンディングを成功させるには、事前の準備と継続的な宣伝活動に相当な時間と労力を投じることが求められます。
スタートアップの成長段階に合わせた最適な資金調達方法
スタートアップは成長段階によって必要な資金額や調達方法が大きく変わります。自社の段階を正しく把握して最適な手段を選びましょう。
ステージ1:シード期の資金調達方法
シード期は事業アイデアは決まっているものの、まだ事業を開始していない段階で、プロトタイプ開発や市場検証が主な目的となります。
調達額の相場は数百万円から数千万円程度で、事業実績がないため金融機関からの大きな融資を受けることが困難です。
また、この段階では事業の構想段階の製品・サービスを少しずつ市場に投入し、PMF(プロダクトマーケットフィット)を目指す時期であるため、投資家からの資金だけでなく、経営ノウハウや人的ネットワークといった支援が有効な資金調達方法となります。
さらに、シード期はバリュエーションが低いため、将来の優先株式発行に備えた投資手段が活用されるケースが多いのも特徴です。
主な資金調達先として、エンジェル投資家、ベンチャーキャピタル、クラウドファンディング、助成金・補助金、日本政策金融公庫があります。
複数の調達先から少額ずつ資金を集めることがポイントです。
ステージ2:アーリー期の資金調達方法
アーリー期は製品やサービスの市場投入段階で、ビジネスモデル確立と初期顧客獲得が目的です。調達額の相場は数千万円程度で、エンジニアや営業スタッフの増員が必要になります。より多くの資金が必要になるため、株式を効果的に活用する必要があります。
主な調達先として、エンジェル投資家、ベンチャーキャピタル、クラウドファンディング、日本政策金融公庫があります。
優先株式などの種類株式を発行し、投資家に有利な条件を提示することが求められます。
ステージ3:シリーズAの資金調達方法
シリーズAは事業開始直後の事業拡大段階です。製品・サービスが市場で一定の評価を受け、顧客基盤が確立され始めています。調達額の相場は数千万から数億円程度で、想定外のコスト発生により資金繰りが苦しくなる可能性もあります。
主な調達先として、ベンチャーキャピタル、コーポレート・ベンチャーキャピタル、大企業からの出資、日本政策金融公庫があります。
種類株式を活用しながら資金調達を行い、契約交渉では不利な条件を避けるよう慎重に進めることが重要です。
ステージ4:シリーズBの資金調達方法
シリーズBは製品やサービスが評価されビジネスが軌道に乗り始めた段階で、大規模な事業拡大を目指します。
調達額の相場は数億円程度で、事業が安定してきますが、さらなる売上向上のためマーケティング費、人件費、研究開発費などが必要になります。
主な調達先として、ベンチャーキャピタル、コーポレート・ベンチャーキャピタル、大企業からの出資、日本政策金融公庫があります。
B種優先株が一般的に利用されるため、優先株式を活用し、大企業との関係性構築にも力を入れることが重要です。
ステージ5:シリーズCの資金調達方法
シリーズCは経営が安定し始めた段階で、事業の安定化とさらなる成長を目指します。
調達額の相場は数億円から数十億円で、海外展開を行う企業も増えてきます。これまでの方法に加えてIPO(新規公開株式)も選択肢に入ります。
主な調達先として、ベンチャーキャピタル、コーポレート・ベンチャーキャピタル、大企業からの出資、民間銀行融資、プライベート・エクイティ・ファンドがあります。
IPO活用により多くの投資家から資金調達でき、知名度や社会的信用度も向上します。
ステージ6:シリーズDの資金調達方法
シリーズDは安定的収益を出せるようになった後、IPOやM&Aも視野に入れる資金調達の最終段階です。
調達額の相場は数十億円からで、新規事業開発や市場拡大などに資金を用います。IPO準備、海外市場展開、大規模なM&Aへの取り組みが特徴です。
主な調達先として、ベンチャーキャピタル、コーポレート・ベンチャーキャピタル、大企業からの出資、民間銀行融資、プライベート・エクイティ・ファンドがあります。
この時期は海外企業からの出資も見込まれるため、安定的な大規模会社との関係性を築き取引を有利に進めることが重要です。
スタートアップの資金調達を成功させるポイント
資金調達を成功させるためには戦略的なアプローチが不可欠です。適切な準備と計画により、事業成長を支える資金を確実に調達しましょう。
自社の成長過程を見極めと正しい資金調達の選択
スタートアップの成長段階に合わせた適切な資金調達方法を選ぶことが成功の鍵となります。
シード期では個人投資家やエンジェル投資家からの少額調達が中心となり、アーリー期以降はベンチャーキャピタルや金融機関からの融資も選択肢に加わります。シリーズAでは数千万から数億円、シリーズBでは数億円規模の調達が一般的でしょう。
自社の現在のステージを正確に把握し、そのステージに適した調達先と方法を選ぶことで、より有利な条件で資金調達が可能になります。
持ち株・経営権の維持
資金調達において最も注意すべき点の一つが、持株比率の維持と経営権の確保です。出資を受ける際に株式を多く渡しすぎると、経営の自由度が著しく制限される可能性があります。
特に持株比率が50%を下回ると、外部投資家に経営権を握られるリスクが高まります。50%超の株式を保有する株主は、株主総会の普通決議を可決でき、役員の選任や解任、重要な経営判断に大きな影響力を持つことになります。
創業者は事業の将来性を示しつつも、経営の主導権を維持できる範囲で出資比率を抑えることが重要です。
償還期限の事前確認
ベンチャーキャピタルから出資を受ける際は、償還期限を必ず事前に確認しておくことが重要です。
多くのベンチャーキャピタルは、ファンドの運営において金融機関や投資家から投資資金を集め、通常10年程度の償還期限を設けています。この期限までに元本と利益を付けた形で投資家に返還する必要があるため、ベンチャーキャピタル側は償還期限までに株式公開やM&Aなどを通じて利益を確保する必要があります。
創業者にとっては、この償還期限がプレッシャーとなり、想定よりも早いタイミングでのイグジットを求められる可能性があります。
資金調達方法の分散
資金調達のリスクを最小限に抑えるため、複数の調達方法を検討し分散させることが重要です。一つの調達先に依存すると、その調達先からの条件が不利になったり、調達自体が頓挫したりした場合に事業継続が困難になる可能性があります。
エクイティファイナンス、デットファイナンス、助成金・補助金、クラウドファンディングなど、自社の状況に合わせて複数の手法を組み合わせることで、より安定した資金確保が可能になります。また、複数の投資家候補を同時に検討することで、投資家間の競争環境を作り出し、より有利な条件での調達が期待できます。
また、投資家が1社のみの場合、競争環境が生じないため、不利な交渉を強いられる可能性があります。
資金管理の徹底
資金調達に成功した後の適切な資金管理は、持続的な成長を実現するために不可欠です。調達資金の配分と使用方法が、企業の将来を左右します。
過剰な人員拡大や設備投資により資金繰りが悪化するケースも少なくないため、資金繰り表を作成し、将来の資金不足を予測することが重要です。利益が出ていても現金が不足する場合があるため、キャッシュフロー管理を徹底する必要があります。
また、資金の流れを明確に把握し、適切なタイミングで次の資金調達を行うためには、早期の法人口座開設と資金管理体制の整備が推奨されます。
スタートアップはステージに合わせた資金調達方法を活用しよう!
スタートアップの資金調達には、エクイティファイナンス、デットファイナンス、助成金・補助金、クラウドファンディング、アセットファイナンスといった様々な方法があります。
重要なのは、自社の成長段階に合わせて最適な手段を選択することです。シード期では個人投資家やエンジェル投資家からの出資が中心となり、アーリー期以降はベンチャーキャピタルや金融機関からの融資も活用できるようになります。
ただし、それぞれの方法にはメリットとデメリットが存在するため、事前にリスクを理解しておくことが重要です。出資では経営権の制限、融資では返済義務、クラウドファンディングでは情報拡散力の必要性など、注意すべき点を把握した上で取り組みましょう。
適切な準備と戦略的なアプローチにより、小規模なスタートアップでも必要な資金を確実に調達し、事業成長を実現できます。
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