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提携事例

国際線機内食で共同開発、ベジタリアン向けスペシャルミールを提供

株式会社みんなのごはんと日本航空株式会社(以下、JAL)は、共同開発したベジタリアン向けのスペシャルミールを、2015年6月1日より国際線機内食として提供を開始した。同ミールは菜食だけで調整しているが、ソイミート、こんにゃくミンチ、ベジタブルデミグラスソースなど、独自の食材やソースを活用し、「味わい・彩り・食感」全てにこだわり「美味しさ」を追求した特別食(スペシャルミール)となっている。

JALの背景と狙い

長時間を機内で過ごす旅客の満足度向上のためには、座席の質、機内食、機内エンターテイメントなどが重要と言われているが、そのなかでも機内食の品質は重要だ。特に今後ますます増加が見込まれる訪日外国人観光客では、宗教的理由、あるいは健康的理由により、肉や魚が食べられないベジタリアン層が一定数見込まれる。そうしたベジタリアンに対応した特別食の品質向上は大きなテーマの1つだった。ベジタリアンの方に本当に満足をしてもらえる食事の提供が課題でもあった。

みんなのごはんの背景と狙い

株式会社みんなのごはんは2014年7月に設立されたばかりのベンチャーで、NPO法人THINK AGAIN(現:NPO法人ベジライフ協会)というベジタリアン向けの啓蒙活動を行っている団体が母体となっている。同NPO法人の代表で、みんなのごはんを創業した岩溪寛司氏によれば、ベジタリアン食を広げる活動においてビジネスと結び付けられる機会を求めていたところ、2014年1月に参加した第1回ILSでJALとの商談機会があり、「ベジタリアン向け機内食を提案できるのでは?」と考えた事が、今回の取り組みのスタートとなった。

提携内容

NPO法人THINK AGAIN(現:NPO法人ベジライフ協会)として参加した第1回ILSで、JALとの商談後すぐに実際に試食する機会が設けられた。この試食会に参加したJALの担当者は、岩溪氏から提案されたベジタブルフードの美味しさに感動。これを機内食にしたいという事で、プロジェクトは具体的にスタートした。2014年5月にはJALの機内食を調理・製造している工場にて、岩溪氏らが提案するベジタリアン向けメニューをどうすれば機内食として提供できるか、機内食担当シェフと毎月のようにミーティングを重ねた。このプロジェクトの成功を確信した岩溪氏は、2015年7月に株式会社みんなのごはんを設立し、秋口には機内食としての提供できる目途がつき、2015年1月に正式契約に至った。レシピの開発については、銀座、新宿、池袋などに店舗を展開しているベジタブル専門店「AIN SOPH(アインソフ)」の料理長だった山口博久氏を開発総括として招聘。ちなみに岩溪氏と山口氏はミージシャン繋がりという関係もあるそうだ。

2015年6月からJALの国際線で提供が開始された。長距離路線のほぼ100%、中距離路線の半分以上で同ベジタリアンミールが提供され、対象の国際線の全クラスで楽しめる(ただし、事前の予約が必要)。同ミールの反応はとても好評で、利用客から「美味しかった」というコメントがJALに寄せられるほどで、スペシャルミールとしては珍しい事だという。

ちなみにベジタリアン人口は世界平均で6%、特にイスラム圏やアジアの仏教国では、その比率が高いという。さらにベジタブルフードの中でも、玉ねぎやニンニク、ニラ、アルコールなどもNGとされる、アジアンベジ、ジャイナベジといった分類もあり、それらへの対応も今後検討していく構えだ。ちなみに岩溪氏によれば、健康や美容目的などで動物性食品をできれば避けたいという潜在的ベジタリアン層は実は8%以上になるそうで、ベジタブルフードのニーズはもっと大きいと見ている。

JALの提携ストーリー

ILSパワーマッチング

商談リクエスト数※1

-

商談数※2

18

後日に再商談した社数
事業提携に至った社数

4

1

  • ※1) 大手とベンチャー双方からの商談リクエスト(商談依頼)合計。ILSでは参加ベンチャー企業を様々な検索軸で検索し、リクエストを行う事が出来ます。また、ベンチャー企業からもリクエストがあります。この仕組みにより、事前に精度の高いマッチングが可能となります。商談リクエストは第2回ILS以降の仕組みのため、第1回ILSで提携に至った場合は「-」と表記しております。
  • ※2) ILS当日に、事前のリクエストによってマッチングした相手と商談した数。
日本航空株式会社 商品・サービス企画本部 開発部 客室サービスグループ アシスタントマネージャー 綱島 寛哲氏

岩溪さんとは第1回ILSでの商談をきっさかけに、1年半をかけて共同でレシピ開発をしてきました。最初に試食させてもらった時は、こんなに美味しいベジタブルフードがあるのかと、JALの関係者は皆一様に感動していました。

この感動を機内食としてお客さまにもお届けしたいという事でプロジェクトを進めてきましたが、機内食には制約も多いため難しい挑戦でした。例えば、機内食は機内食調整会社で調理したものを機内に持ち込んで再加熱して提供するため、使える食材にもいろいろと制約があります。実際に調理を担当するシェフも交えて、調理のコツから、味付けの調整などを続けて、1年半かけてようやく完成したのが、今回のスペシャルミールです。

2015年6月から機内で提供を始めました。まだ1か月ほどですが「美味しい」というコメントがお客様から多く寄せられています。スペシャルミールでお褒めのコメントをいただける事はとても珍しいことです。また、海外のメディアなどでも取り上げていただきました。今後はアラカルトのヘルシーメニューとして導入することも検討していきたいと考えています

株式会社みんなのごはん 代表取締役 岩溪 寛司氏

ILSに参加することになり、JALさんに直接提案できる機会をいただけた時、まず思いついたのが「機内食」でした。商談時にはベジタブルのハンバーガーという提案を行ったのですが、その後の試食会で、われわれの提案したベジタブルフードの美味しさに大変好評をいただいて、これを機内食にしたいという事になりました。

我々としても機内食は初めての挑戦でしたので、いろいろと苦労しました。もともとNPO法人としてやっていたので、当然非営利なのですが、ベジタブルフードを広めていくのは商業ベースに乗せることも重要ということで、今回のプロジェクトのために株式会社みんなのごはんを立ち上げました。

これからたくさんの外国人が日本に来られるかと思います。そうした際、宗教的にベジタリアンという方も多くいらっしゃるかと思いますが、そうした人が日本に触れる最初のきっかけとなる機内の中で、美味しいベジタブルフードを楽しんでもらいたい。日本にはこんなに美味しいベジタブルフードがあるという事を知ってもらいたいですね。我々の社名である「みんなのごはん」というのは、はあらゆる事が食に不自由しない社会を作りたいという想いをこめています。