
海外のスタートアップと組むことが多いのですが、ILSではリアルイベント前にもWeb面談が設定できるのでそこで地ならししたうえで、イベント中に対面面談に臨めるので距離感を縮めやすいと感じます。また、ILSに参加する海外スタートアップは日本での事業展開やパートナーを求めるなど、一定の期待値を持っていると思うので、実のある商談になりやすいです。
公開日:2025年7月 / 執筆:ILS事務局
三洋貿易株式会社は2023年12月のILS2023で、シンガポールに本社を置くマテリアルズ・インフォマティクス(MI)のクラウドプラットフォームを提供するPolymerize社の日本法人であるPolymerize合同会社に日本での販売協力を提案。2024年3月の国内代理店契約を経て、同年9月には資本業務提携を結び、戦略的パートナーシップをさらに強化している。
ファインケミカル、インダストリアル・プロダクツ、サステナビリティ、ライフサイエンスの4分野で市場ニーズの高い製品・サービスの輸出入および販売を手がけるニッチトップ専門商社の三洋貿易は、単なる「モノ売り」ではなく、顧客に寄り添うソリューションプロバイダーへ、が経営方針。そのため、ILSにも2018年より参加して、さまざまな協業、パートナーシップを実現してきた。
そうして近年、化学業界での新規事業を模索し、AIを活用して材料開発を効率化するマテリアルズ・インフォマティクス(MI)に着目して連携先を探っていたところ、ILS2023の参加スタートアップのなかにシンガポール発のMIスタートアップであるPolymerize社を見つけ、商談をリクエストした。それまでにもグローバルのMIプレイヤーとの連携を試みてはいたが、日本語でのサポート体制が整備されていないなどの課題により、実らなかった。「その点、Polymerize社は日本法人を新設して、日本市場に取り組む本気度が感じられ、好印象でした(海老沢氏)」
2020年にシンガポールで創業したPolymerize社は、AIを搭載したSaaSのMIプラットフォームを開発・提供。MIを使うことで顧客は開発期間の短縮やそれに伴うコストやリソースの効率化といったメリットが得られる。さらに同社製品の強みとして、データ管理基盤を備えており、データ駆動型の研究開発体制を支援できること。使いやすいUIで、数値データ以外にも画像や波形、分子構造の記述式といった多様なデータを扱えるため、数学や情報工学の知識がなくてもインサイトを得やすいことなどが挙げられる。
創業期より日本企業のフィードバックを得ながら製品を作りこんできたこともあって、初期の顧客は日本企業。また、現在グローバルで80社ほどの顧客のなかでも日本企業が多くを占めるため、CEOも日本に駐在して日本市場にコミット。2023年5月に日本法人を設立し、化学・素材開発経験のある日本人社員らによる開発および営業・サポート体制を強化している。ILSについてはJETROの紹介で知り、ユーザーおよびパートナーの開拓のため、2023年12月開催のILS2023に初参加を決めた。
三洋貿易は2024年3月にPolymerize社との国内代理店契約を締結。三洋貿易のファインケミカル領域では、このような代理店契約によるサービス提供は初の試みだった。そうして、合成ゴムや樹脂関連に顧客を持つ同社のネットワークにより、約3ヶ月で3~4社がPolymerize社のMIプラットフォームを導入。そもそも日本の化学業界ではAIやデータサイエンスの活用がうまく回っていないが、Polymerize社では研究開発や材料開発経験のある社員が導入をサポートするため、三洋貿易としても同社製品を顧客に勧めやすい。
こうして2025年中には10社への導入も見据えている三洋貿易では、2024年9月にはさらに関係強化のため、同社内で2020年から始めているスタートアップ投資の枠組みを用いてPolymerize社との資本業務提携を発表。「チャネル戦略として、三洋貿易のネットワークは当社にとって非常にあり難く、さらに日系の事業会社に出資いただくことも外資系の当社が日本市場で信頼を得る一助となり、感謝しています(山田氏)」。
今後は国内だけでなく、中国などアジアでも三洋貿易のネットワークを活用して製品を展開していく考え。Polymerize社はもともとグローバル展開しているが、多言語対応の製品なので、日本企業が海外拠点でも使うケースに適用できる。実際に、国内メーカーがヨーロッパ拠点の研究開発部門とデータを共有している例もあるため、クロスセルの提案にも注力していく。さらに、「三洋貿易としては次のステップで、お客様への提案力を高めたいと考えています。顧客が求める材料が予測できたり、代替材料が必要な時に早期に探索して提案するなど、より上流でも役立ち、サプライチェーン全体の最適化につながるような動きをしたい。そのための良いパートナーがILSで見つけられました(海老沢氏)
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海外のスタートアップと組むことが多いのですが、ILSではリアルイベント前にもWeb面談が設定できるのでそこで地ならししたうえで、イベント中に対面面談に臨めるので距離感を縮めやすいと感じます。また、ILSに参加する海外スタートアップは日本での事業展開やパートナーを求めるなど、一定の期待値を持っていると思うので、実のある商談になりやすいです。
ILSは会場の虎ノ門ヒルズが、広大な展示会場などとは違って広すぎないので、参加者同士のコミュニケーションが取りやすいです。自社のブースからサッと出てどんどん名刺交換するなどして、一気にさまざまな人と出会え、スタートアップとして有難いですね。2023年に引き続き参加した2024年でもマッチングでPoCにつながっており、成果の出やすさを感じています。
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