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提携事例

「口コミコム」を運営する株式会社movと、株式会社NTTドコモが連携、リアル店舗のDXを推進

公開日:2023年4月11日 / 執筆:ILS事務局

顧客の声を業務改善・売上につなげるDXサービス「口コミコム」を提供する株式会社movは、2022年5月、NTTグループのCVCである株式会社NTTドコモ・ベンチャーズからの出資を受け入れた。

NTTドコモ・ベンチャーズの背景と狙い

NTTグループのCVCとして2008年2月に設立されたNTTドコモ・ベンチャーズ(前身:NTTインベストメント・パートナーズ)は、2014年よりILSに参加し、積極的にスタートアップとの協業を模索してきた。もともとNTTドコモ(以下、ドコモ)でマーケティング業務を経験してきた新井氏が2021年に参加したILSにて、movからの商談リクエスト内容を見て「口コミコム」には大きなニーズがあると確信。店舗事業者に向けて「d払い」とのセット提案等を模索した。

当時、ドコモは自社メディア「dポイントクラブ」に掲載する加盟店の情報に対し課題を抱えていた。現在「dポイントクラブ」掲載の店舗は約500社を超え、今後も増加が見込まれている。しかし店舗の統廃合や営業時間の変更など、正しい情報をリアルタイムで「dポイントクラブ」に反映していくのは、ドコモ側はもちろん、加盟店側にも多大な負担がかかる。この課題を解決するには、ドコモ側の努力だけではむずかしく、加盟店の労力を極力かけずに、店舗の正確な情報をリアルタイムに「dポイントクラブ」へ反映できるエコシステムを作る必要があった。そうした中で、各店舗がMEO(Map Engine Optimization、Googleに載っているお店・施設の情報を充実させることで、GoogleマップをはじめとしたGoogle上での露出増加、集客・売上向上を目指す取り組み)に積極的に取り組む傾向を把握。MEOのソリューションを提供できる企業を探し、「dポイントクラブ」と連携できないかと考え、NTTドコモ・ベンチャーズに相談した。

そこで紹介された企業のひとつが、NTTドコモ・ベンチャーズがILSで商談したmovだった。他社と比較し、movと相性が良いと感じた理由について、NTTドコモの橋田氏は「既にd払いやdポイントを導入している複数の大手チェーン店が口コミコムを導入していたので、このエコシステムはすぐに使えるのではないかと思いました」と語る。「加盟店発信の情報をリアルタイムで一括更新できるところ、また、将来的にドコモ側で口コミを管理していく際にも有用性のあるソリューションだと感じられた。」そういった連携を後押しすべく、NTTドコモ・ベンチャーズを通じた出資が決まった。

movの背景と狙い

movは、インバウンド(訪日外国人観光客)のマーケットデータを国内企業に伝えることを目的としたメディア「訪日ラボ」を2015年9月の創業と同時に開始。その運営やインバウンドコンサルを通じて、複数の口コミ媒体のマネジメントニーズを強く感じた結果、生まれたのが「口コミコム」だ。

コロナ禍で営業時間が頻繁に変更されるなど、店舗の情報管理はより煩雑になった。営業時間をネットで確認しても、行ってみたら営業していなかったという経験をした人も少なくないだろう。しかし、店舗側からすると、Googleマップなどの地図アプリや様々な口コミサイトに情報をひとつひとつ手作業で更新していくのは骨の折れる作業だ。「口コミコム」では、管理画面で店舗の情報をマスターデータとして更新することで、それぞれのサイトに一括・自動で反映できる機能を持つ。

また、複数のサイトに散らばる口コミも一元管理・分析できる他、クーポンの配布やキャンペーン情報も一括配信することで、売上アップにつながる施策を打つことが可能だ。

本プロダクトのリリース以来、順調に契約企業は増えていったが、movには連携する媒体を増やしていきたいという意向があった。この点についてmov代表の渡邊氏は「連携媒体が多ければ多いほど、口コミコムの提供価値が高まり、したがって使ってくれる店舗も増えていきます」と説明。月額課金(SaaS)モデルでのサービスであるため、「dポイントクラブ」というメディアを持つドコモと連携することは双方にとってメリットがあると考えた。

提携内容

ドコモの各加盟店に対し営業担当が「口コミコム」を導入してもらえるよう働きかけを実施。「口コミコム」を導入することで「dポイントクラブ」などのドコモメディアだけではなく、Googleマップや他の口コミサイトにも露出できることは、店舗にとっても大きなメリットだ。 また、店舗事業者向けに、「dポイント」や「d払い」の活用方法やメリットをmovが運営する無料のオンラインスクール「口コミアカデミー」の中で紹介。ドコモとmov両社にとって、顧客を獲得しやすくなるような施策を開始した。

「口コミコムで管理できる媒体の価値を高めることが、このプロダクトの本筋。口コミコムを活用することによって、dポイントクラブ経由の集客が増え、加盟店に『dポイントに加盟していてよかった』と思ってもらえるものを実現していきたい」と渡邊氏。

また、NTTドコモ橋田氏も「加盟店にとって、これはリアル店舗のDXである」と語る。DXが進めば生産性も上がり、それが経済発展にもつながっていく。「口コミコム」との連携で、プラスαのソリューションが生まれることを期待しているという。

movと出資前からどんな取り組みができるだろうかと議論してきたNTTドコモ・ベンチャーズ新井氏も、ドコモとmovの連携を後押しする形で出資できたことに満足する。「movさんとドコモがタッグを組むことで加盟店の業務効率化や販促向上などに寄与できると考えます。また、口コミコムにとっては連携媒体が拡充されることでサービス価値が向上するのではと思いますし、ドコモが販売協力することで、movさんの成長を後押しさせていただけることを嬉しく感じます」。ドコモとの連携だけではなく、その他のドコモグループやNTTグループとの共創をサポートすることもNTTドコモ・ベンチャーズのミッションだ。すでにドコモグループ内の別会社との連携検討もスタートしている。「出資させていただいた企業の成長に向けて、弊社グループのアセットが貢献できそうであれば、どんどんご紹介します(新井氏)」

NTTドコモ・ベンチャーズの提携ストーリー(ILS2021)

ILSパワーマッチング

提案数※1

140

商談数※2

21

後日に再商談した社数
事業提携に至った社数

6

1

  • ※1) 大手とベンチャー双方からの商談リクエスト(商談依頼)合計。
  • ※2) ILS当日に、事前のリクエストによってマッチングした相手と商談した数。
株式会社NTTドコモ・ベンチャーズ Investment & Business Development Manager
 新井 春香 氏

スタートアップと大企業の交流イベントは他にもありますが、事前にスタートアップ側の情報を詳細に見られるところはあまりありません。ILSではかなりのボリュームでスタートアップ企業から商談リクエスト内容が送られてきます。事業内容の詳細や私たちに期待いただいているポイント等を事前に確認したうえでお会いできるので、お互いのことをある程度理解し、興味を持った状態からスタートできます。そのため、効率的にお話ができるのと、アンマッチが起きにくいように思います。結果として、事業連携にもつながりやすい印象です。

株式会社mov 代表取締役
 渡邊 誠 氏

興味をもった大手企業に対し、事前にメッセージを送れるのはILSならではですね。他のイベントだと、そもそも相手先を見つけられずに終わってしまうこともあります。お話をしたい企業の来場を知ってはいても、会場で名刺交換するまではどのような方なのかはわかりません。ILSの場合は、事前にアプローチしたい企業の方とコンタクトがとれているので、そういったすれ違いも起こりません。そこが一番のストロングポイントだと思います。

mov社を推薦したILSアドバイザリーボードメンバー
SMBCベンチャーキャピタル株式会社 投資戦略部 副部長 倉持 栄一郎