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提携事例

CVC第1号事案として資本提携、STEAM教育コンテンツを見据えて協業開始

公開日:2023年3月23日 / 執筆:ILS事務局

子ども向けオンラインスクールを提供する株式会社ハグカムは、2022年6月、デジタルエンジニアリングのパイオニア、SOLIZE株式会社のCVC第1号事案として出資を受入。さらに、新たな教育コンテンツを共同開発し、2023年2月、アルファベットへの興味を引きだす子ども向け英語体験アプリ「あつめてABC」をリリースした。今後も両者はSTEAM教育コンテンツなど、幅広く協業を深める予定。

SOLIZEの背景と狙い

1990年創業のSOLIZE株式会社は日本における製造業向けデジタルエンジニアリングのパイオニアで、主に自動車業界向けにエンジニアリングサービスを展開。近年、既存事業の枠組みを離れ、ソフトウェア開発などの新規事業領域に取り組んできた。

2021年にサービスを開始した、XR技術を活用した教育・学習向けプラットフォーム「SADOKU」もその一つで、2022年1月には当該部署を含む、ビジネスインキュベーション事業部を新設させている。互いにシナジーを生み出せるような外部との出会いを求め、2022年2月、ILSに初参加(それ以前もインキュベーション担当者が個別に参画はしていたが、会社としてのエントリーは初)。「当社事業自体がB2Bを主体としてきましたが、教育・学習においてはB2Cで一人ひとりの学びにアプローチしたいという思いがありました(増田氏)」

ハグカムの背景と狙い

2015年設立の株式会社ハグカムは、子ども向けオンライン英会話スクール「GLOBAL CROWN」を運営するEdTechスタートアップ。幼少期に芽生えた好奇心を継続させる「夢中メソッド®」により、高い継続率と生徒数増を実現させてきた。コロナ禍でオンライン教育の実用性が見直されたことを機に、読み書き・算数・ダンスなど、英会話以外の教育領域にも展開を図ろうと、2021年3月に資金調達を実施。さらに具体的に、昨今求められるSTEAM教育のコンテンツ開発の技術および事業提携先を求め、2022年2月、ILSに初参加。

事前にマッチング先を検索するなかで「教育」「子ども」「EdTech」などのキーワードでSOLIZEの名が挙がり、改めて調べたところ、VRを含む技術者集団だと分かり、オファーを出した。「子ども向けでも最近プログラミング教育などが人気なので、ジャンル展開するときに何かご一緒できるかもしれないといった、ざっくりしたイメージでした(道村氏)」

提携内容

SOLIZEがXR技術の展開先として教育コンテンツを手がけていたのは、長年のエンジニア育成で培ったノウハウがあったからで、利用者の興味や関心、好奇心を引き出すことを重視していた。そうした感覚が、ハグカムの「子どもに生まれた一瞬の興味を、引き出す。育む。育み続ける。」というミッションに通じ、ILS当日は会ってすぐ互いに共感。1時間の商談があっという間で、「『このまま飲みに行って、まだ2~3時間は話せますね』という会話をしたのを覚えています(ハグカム道村氏)」。また、ちょうどSOLIZEでCVCを立ち上げたタイミングだったため、第1号案件として検討され、マッチングから4か月後の6月に出資を行った。

並行してSOLIZEのXR技術を活用した語学習得アプリの共同開発を開始。GLOBAL CROWNの対象年齢は3歳からだが、実際の入会は7歳前後が多いため、もっと早くから英語への興味を喚起したいという課題があった。一方で、保護者には「スマホで動画などを見せて時間を消費することへの罪悪感がある」ということが分かっていたため、「この時間を英語に興味を持つ時間に転換できないか」というハグカムの要望からスタートした。そこで7月頃から開発に向けた両社のミーティングを開始し、両社でアイデア出しから始める。初回からSOLIZEのXRエンジニアも参加して、初期プロトタイプは約1ヵ月で形にし、3ヵ月でほぼ製品化レベルに仕上げた。

「ハグカムからのフィードバックは迅速で、企画書や仕様書よりもスピードを重視されたため、内製組織になったつもりで開発を進めました(SOLIZEエンジニア永井氏)」。そうしてできた「あつめてABC」にはAIの文字認識技術も使われていて、SOLIZEとしても挑戦となった。「必要な技術領域のエンジニアを自前で揃えるのはスタートアップには無理。最初のアイデアに対して、SOLIZEにはすぐ技術で応えてもらえ、技術力の高さに驚かされました(ハグカム道村氏)」。

SOLIZEの提携ストーリー(ILS2022)

ILSパワーマッチング

商談リクエスト数※1

59

商談数※2

36

後日に再商談した社数
協業に至った社数

9

2

  • ※1) 大手とベンチャー双方からの商談リクエスト(商談依頼)合計。
  • ※2) ILS当日に、事前のリクエストによってマッチングした相手と商談した数。
SOLIZE株式会社 ビジネスインキュベーション事業部xRクリエーション部 部長
増田秀仙氏

ILSはマッチングの仕組みが確立しており、スタートアップの検索や協業検討がしやすいと感じました。社内で商談参加者を募るにも、スタートアップ情報を転送できるので便利です。また、スタートアップからのオファーも含め、予期していないような出会いが得られるのもILSならではでしょう。また、通訳サービスなども整備されていて自社で用意する手間がなく、海外スタートアップとの商談もハードルを感じずにスムーズにできました。

株式会社ハグカム 代表取締役CEO
 道村弥生氏

一般的なマッチングや紹介では、つながる相手が大手企業の現場担当者である場合が多いものですが、それだと決裁権がなかったりして、実際の協業や業務提携に至るのは難しかったり時間がかかったりしてしまいます。スタートアップには、そこで時間がかかるのは大きな損失になりますが、ILSでは、ある程度決断いただけるレイヤーの方と最初に会えるのが有難かったです。

ハグカム社を推薦したILSアドバイザリーボードメンバー
EY新日本有限責任監査法人 企業成長サポートセンター パートナー 西口 昌宏