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提携事例

行動予測AIの開発の資本業務提携、日本展開を加速

公開日:2022年6月29日 / 執筆:ILS事務局

英・ロンドンを拠点とするHumanising Autonomy Ltdは、Emellience Partners株式会社から共同リードインベスターとして出資を受入れ、モビリティや製造業などで積極的な活用が期待されるコンピュータービジョン領域において、同社が独自に開発を進める「行動予測AI」の日本市場への浸透を図っている。

Emellience Partnersの背景と狙い

Emellience Partnersは、BIPROGY株式会社(旧日本ユニシス)の戦略的投資会社として2020年に創業。DX領域における共創的新事業の創出を目指し、先鋭的な技術を持つスタートアップに出資し、日本の大手企業との協業を後押ししている。ILSにはBIPROGYとして国内外の企業との協業機会を目指して参加してきた。これまでの投資先の中心は日本国内のスタートアップだったが、Humanising Autonomyは投資先としては初めて、日本国外に拠点を置く企業となった。さらに、当案件では英国現地VCと共同リードインベスターとしてラウンドを率いている。

Humanising Autonomyの背景と狙い

Humanising Autonomyは、イギリスの理工系大学Imperial College Londonのプロジェクト成果を商業化する形で、2017年に設立された。コンピュータービジョンの開発を得意とし、先進運転支援システム(ADAS)のほか、自動車などの移動体からの情報を活用するテレマティクス分野や、スマートシティ分野などへの導入を図ってきた。Humanising Autonomyによるコンピュータービジョンの特徴は、これまで難しいとされてきたヒトの行動を高精度に予測する「行動予測AI 」プラットフォームの展開だ。高精度予測は、「単眼カメラ+AI」に、ヒトの行動心理学の知見を組み合わせることで実現している。ダイムラー社やロンドン市交通局などとも協業するなど、欧州や北米での展開が進んでおり、日本市場でも更なる浸透を図るべく、ILSには2020年から3回連続で参加している。

提携内容

Humanising Autonomyが掲げるのは、世界基準のヒトと機械のインタラクションを提供することで、機械が人々の暮らしをより良くしていくことだ。そのために、「行動予測AI」がさまざまなデバイスに組み込まれ、工場やスマートシティにおいて活用されることを目指している。

同社のポテンシャルを日本市場にも広め、浸透させていく上で、日本企業とのネットワークづくりは欠かせない。英国のBeacon Capital LLP社と共同リードインベスターとなったEmellience Partnersは、日本市場へ浸透していくためのマーケティング・営業、業務提携を行う上での助言などを担っている。「Humanising Autonomyの主戦場は今のところ欧州と米国である一方、同社の卓越した技術は、日本の企業に大いに役立つはずだ」と竹岡氏は言う。

2017年の設立当初から、Humanising Autonomyには日本からも問い合わせが寄せられており、手応えを感じてきた。「これまでに築いてきた関係をさらに深め、長期的な協業関係のもとで、我々の築いてきた技術を日本市場に広める段階にきており、たいへん有望だと考えている」とPindeus氏。日本に駐在するスタッフは限られているが、Emellience Partnersのサポートのもとで、日本企業との協業を進めるリソースを得て、複合現実(MR)でも市場を広げて行くことにしている。Humanising Autonomyが出資者の支援を受けて日本における営業体制を拡げていくということは、「日本でさらに活動を本格化させるというサインにもなり、顧客を得ていく上で意味がある」(Pindeus氏)

共同リードインベスターの役割を初めて担うEmellience Partnersにとっても、「学びが多い」(竹岡氏)といい、今後、同社が進める戦略的投資において、日本のスタートアップも海外で活躍の場を広げていく際に役立つであろう知見を積み重ねている。また、同社のダイバーシティにも注目している。CEOのPindeus氏は英国籍でない女性で、スタッフにも外国籍の人が多くさまざまなバックグラウンドの持ち主だ。民族的なダイバーシティは世界的な市場をターゲットにする場合には有利に働く。当然ながら、民族的なダイバーシティだけでなく、スキルバックグラウンドも多様だ。こうしたことも日本企業に伝えていきたいという。

BIPROGYの提携ストーリー(ILS2021)

ILSパワーマッチング

商談リクエスト数※1

89

商談数※2

36

後日に再商談した社数
事業提携に至った社数

10

3

  • ※1) 大手とベンチャー双方からの商談リクエスト(商談依頼)合計。
  • ※2) ILS当日に、事前のリクエストによってマッチングした相手と商談した数。
Emellience Partners 株式会社 
竹岡 紫陽氏

ILSにスタートアップが参加するためには、ベンチャーキャピタルやJETROなどのアドバイザリーボードから推薦を受ける必要がある。このおかげで、Emellience Partnersも国の内外を問わず、質の高いスタートアップに出合うことができている。この点はILSの大きなアドバンテージであり他の同種イベントと一線を画す、素晴らしい仕組みであると考えている。

Humanising Autonomy Ltd Co-founder, Chief Executive Officer 
Maya Pindeus氏

ILSは、日本においてネットワークを広げる非常に良い機会になっています。初めて参加した際は、モビリティ分野に加えて、ロボティクスや半導体など、我々が業務を行うバリューチェーンをさらに広げた形で、参加企業との対話ができました。以来、ILSについて我々は「参加するのがマスト」であると位置付けています。

Humanising Autonomy社を推薦したILSアドバイザリーボードメンバー
独立行政法人日本貿易振興機構 対日投資部 主査 紀井 寿雄