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提携事例

非接触バイタル・メンタル検知センサーの製品化に向けた協業

公開日:2022年6月17日 / 執筆:ILS事務局

株式会社カレアコーポレーションと三洋貿易株式会社は2019年頃より新規商材として、カレアコーポレーションによる非接触センサー技術の開発・製品化に向けて協業。バイタル・メンタル・感情を数値化する独自技術の信頼性を図りつつ、自動車向けを中心に、共同プロジェクトが複数進行中だ。

三洋貿易の背景と狙い

三洋貿易は、旧三井物産神戸支店有志により1947年に設立された、ゴム・化学品・機械・自動車関連部品などを扱う複合型専門商社で、東京・大阪・名古屋・広島のほか、海外10ヵ国に17拠点を展開。M&Aも積極的に行い、新規技術/商材を幅広く日本産業界に紹介してきた。自動車関連ではシート用高機能部品を扱い、近年は子ども置き去り検知センサーの導入など、事業拡大にも注力。また自動車ベンチマーキングサービスも取扱い、顧客の開発に貢献するソリューション提供や、企画開発段階から量産納入まで一気通貫で対応している。

2018年からの長期経営計画「VISION2023」では「最適解への挑戦」をスローガンに、全社一丸で新規商材の開発を目指し、ILSにも2018年から参加。2020年10月に社長直轄で開設された事業開発室をはじめ、全事業部が毎年ILSにコミットし、同社ネットワークで可能性を拡げられるスタートアップの発見に努めている。そんな中、2018年のILSでカレアコーポレーションと出会った。

カレアコーポレーションの背景と狙い

カレアコーポレーションは、立山科学グループで副社長まで務めた吉田氏が自身の療養体験から、高齢者見守りシステムの改良を志し、電子部品営業のベテランであった横田氏とともに2014年に創業。赤外線センサーより高精度な検知が可能な[ドップラ効果]を用いたセンサーを開発。人体に触れずにその人の生体情報を検知・解析しリアルタイムに表示する。富山大学五福キャンパス内に開発拠点と、東京・兜町に営業拠点を持ち、脈のゆらぎ解析でストレス・眠気・集中度・精神的疲労度・喜怒哀楽を数値化し、「心の見える化」を実現させている。

ILSには、日本政策金融公庫の推薦で2016年から参加。「離れた場所からバイタル・メンタル・感情を検知する非接触・無拘束型のセンサー」として多領域から注目を集め、TOP20ピッチにも連続で登壇を果たすなか、快適性向上や安全サポートシステムとして自動車関連市場への展開を、三洋貿易と協業して目指している。

提携内容

2018年のILSで、三洋貿易が求める技術をリストアップしたなかで、カレアコーポレーションの非接触バイタルセンサーに注目。マッチングにより、用途が広く多様な商品性が期待できることから、三洋貿易の自動車関連等における顧客ネットワークを活用して、価値提供の可能性をともに探り、提案・開発を推進している。

自動車シート用高機能部品を手がけてきた三洋貿易にとっても、バイタルからメンタル検知まで可能なカレアコーポレーションの技術は画期的。EVや自動運転の普及に伴い、車内環境向上がトレンドになる中で、車載インフォテインメントや快適性における付加価値向上を目指して、両者で足並みを揃え製品開発を進めている。また、スタートアップのリソース不足を補うべく、三洋貿易ではセンシング技術者を補強し、プロジェクトの深耕とともに深まる、開発・実装に向けた活動に専任で当たっている。

複数人検知など、カレアコーポレーションのセンサー技術の進化による最新状況をタイムリーに共有し、三洋貿易でも自動車関連以外の領域での展開可能性を提示し、議論を進める。たとえば、家畜の出産・発情期をセンシングによるデータ取得・分析で予測し、生産性を向上させることが可能だが、それを三洋貿易の畜産飼料部門でサービス化したり、認知症・うつ病の予測・経過観察機能をライフサイエンス領域で活用するなどが考えられる。「中長期ではセンシング機能をロボティクスと融合するなど、製品やサービスの付加価値を高め、国内だけでなくグローバル市場に向けて、労働力減少などの社会課題を解決するソリューションとして期待しています」と林氏。

三洋貿易の提携ストーリー(ILS2018)

ILSパワーマッチング

商談リクエスト数※1

33

商談数※2

23

後日に再商談した社数
事業提携に至った社数

7

2

  • ※1) 大手とベンチャー双方からの商談リクエスト(商談依頼)合計。
  • ※2) ILS当日に、事前のリクエストによってマッチングした相手と商談した数。
三洋貿易株式会社 事業開発室 副室長 
林 慶一郎氏

事業領域が幅広い我々にとって、ILSでは多様な領域のスタートアップと一時に出会えて有難いですね。当社では事業開発室だけでなく各事業部も全て参加し、新たなビジネス創出に積極的に取り組んでおり、会期が近づくと皆でテーマを選定し、会期後はマッチング結果をフォローアップしていくなど、横ぐしの連携も年々強化しています。ILSは毎年恒例なので定点観測的に過去からの技術開発の進捗をレビューして、今後のトレンドの見通しがつかめるメリットも感じています。

株式会社カレアコーポレーション 取締役会長 
横田 敏之 氏

ILSに毎年参加することで、大手企業様から多くの引き合いを頂きその内容も家電、住宅、ヘルス関連以外にも建設、化学、食品業界など多岐にわたり、ILSならではの領域の広さに驚いております。また当社技術の可能性に改めて自信がもてました。会期後のマッチング結果を大切にフォローさせて頂き、より良い技術を皆様に提供したく努力させて頂く所存です。今後共ILSに期待します。

カレアコーポレーション社を推薦したILSアドバイザリーボードメンバー
日本政策金融公庫 国民生活事業本部  山口 賢治