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提携事例

公開日:2022年6月17日 / 執筆:ILS事務局

KiQ Robotics株式会社とタイガースポリマー株式会社はKiQ Robotics社が手がける作業を自動化できるロボットパッケージ(Quick Factory)で使用するエンドエフェクタ(ロボットハンド)に装着する製品の開発で提携。現在はエンドエフェクタに装着する柔軟グリッパ、それが稼働するエンドエフェクタ素材の2つを開発中で、2022年中の完成を目指す。

タイガースポリマーの背景と狙い

1938年創業のタイガースポリマーは、「ホース製造」「ゴムシート製造」「モールド(成形品を作る技術)」の3つの基本技術をもとに、自動車、家電、土木・建築・住宅、産業資材の4つの市場に製品を供給し、国内外でバランスの取れた経営を行い、ニッチな市場でトップシェアを獲得してきた。しかし近年の自動車電動化の波による内燃機関部品市場のシュリンクに備え、これからの会社の成長をよりたしかなものにする目的で、本業に代わり得る新規事業の創出と将来の経営人材の育成を目的としたトップ直轄の新規事業部が2018年3月に設置された。

まずはオープンイノベーションの世界を知ること、スタートアップ企業を通したネットワークの構築、他大手企業の新規事業の取り組みの動向把握などの目的で2018年よりILSに参加。「KiQ Robotics社のようなスタートアップがもつチャレンジ精神と圧倒的当事者意識が社内意識や行動をマインドセットするきっかけとなる」と辰濱氏。

KiQ Roboticsの背景と狙い

代表取締役である滝本氏は、北九州高等専門学校の准教授時代、KiQ Robotics設立のために共同創業者と2名でメンバーと資金、協力先を探していた時に出資元のQBキャピタル合同会社からの紹介で2019年からILSに参加し、研究成果の出口を求めていた。

KiQ Roboticsはロボットパッケージで使用するロボットハンド製作を目的としていたが、研究的に作っているゴムハンドは特注品で1個ずつしか製造できなく、量産化への道と販売における知識を求めてタイガースポリマーに商談をリクエストした。現在は研究開発と販売先の開拓をタイガースポリマーと共同で進めている。

提携内容

タイガースポリマーとKiQ Roboticsがはじめて接触したのは2019年の第7回ILS。その後すぐに福岡県にあるKiQ Robotics社にタイガースポリマーが出向いて研究段階の製品を見せてもらい、具体的な提携について進めていった。

KiQ Robotics社は「誰でも簡単に」自動化を実現できるロボットパッケージ(製品名:Quick Factory)を開発。これは作業前と作業後の写真を登録するとロボットが自動的にプログラミングしてくれるというシステムで、そこに今回の提携により多様な対象物を把持できるエンドエフェクタ(ロボットハンド)を導入している。人の爪と指の機能を再現した柔軟グリッパ(指)によって、大きさや形状を問わない多様な対象物に対応が可能となっている。
「エンドエフェクタに装着する柔軟グリッパ(指)」「柔軟グリッパを稼働するエンドエフェクタ用部材」の2つの開発が進行中で、2022年2月開催の第9回ILSではKiQ Roboticsのブースにてサンプルおよびポスター展示を実施した。今後は性能評価などを進めていく。

KiQ Roboticsにはエンドエフェクタだけでなくロボットパッケージとして世に広めていきたいという意図があるため、広げ方についてもタイガースポリマー社のネットワークや知見についての提携の可能性も見据えている。具体的にはQuick Factoryを使ってタイガースポリマー社内の工程を自動化したり、タイガースポリマーがQuick Factoryをシステムパッケージとして顧客に売っていくというような新規のチャレンジが自社内でも生み出せるのではないかと検討している。「一方が教えてもらう・作ってもらうのだけでなく、双方にシナジー効果の見込める新しいビジネスにつながる可能性が芽生えている」と滝本氏は言う。 タイガースポリマーにとっても顧客からの注文に応えることはあっても、自分たちから「こういうものを作りたい」と発案する機会があまりなかったので、スタートアップ企業のチャレンジ精神を学べたのは収穫の一つだったと捉えている。「提携により1つの商品を作るだけではなく、どれだけ展開していけるかを考えることにより、既存のビジネスへの活用も見込める」と辰濱氏。

タイガースポリマーの提携ストーリー(ILS2019)

ILSパワーマッチング

商談リクエスト数※1

27

商談数※2

23

後日に再商談した社数
事業提携に至った社数

9

6

  • ※1) 大手とベンチャー双方からの商談リクエスト(商談依頼)合計。
  • ※2) ILS当日に、事前のリクエストによってマッチングした相手と商談した数。
タイガースポリマー株式会社 新規事業部長 
辰濱晃夫 氏

ILSはKiQ Roboticsさんをはじめ、幅広い分野の優れたスタートアップが参加していると感じます。また他のマッチングシステムだと大手企業から一方的なアプローチしかできないものなどもありますが、ILSは双方からのアプローチができるのが魅力です。 我々も初参加の時より上位のプランに変えて、数多くのスタートアップと効率よくミーティングを持てています。

KiQ Robotics株式会社 代表取締役CEO 
滝本隆 氏

タイガースポリマーさんとは今進めている提携内容以外にも試験方法などさまざまなことについて助言をいただいており、色々なことを相談できる良い関係性ができたことは、本当に得難いです。ILSがなければタイガースポリマーさんにはお会いできませんでした。他社さんとつながるよいきっかけになると思います。

KiQ Robotics社を推薦したILSアドバイザリーボードメンバー
QBキャピタル合同会社 代表パートナー 坂本 剛