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提携事例

肥料でも農薬でもない新しい農業製品の普及に向け資本提携、共同研究等を継続実施

公開日:2022年6月7日 / 執筆:ILS事務局

アクプランタ株式会社は、2021年3月のILSでマッチングしたKHネオケム株式会社、ほか農林中金イノベーション投資事業有限責任組合、SMBCベンチャーキャピタル6号投資事業有限責任組合を引き受け先とする第三者割当増資を実施し、2022年4月にプレシリーズAラウンドのファーストクローズで1億5000万円の資金調達を行った。今後も協業を図っていく。

KHネオケムの背景と狙い

1949年に設立した協和発酵工業(現・協和キリン)の化学品事業を前身とする、KHネオケム株式会社。2011年に独立して現体制となり、2016年に東証一部に上場※ 。環境配慮型エアコンに欠かせない潤滑油の原料や、半導体の製造工程に用いられる高純度溶剤など、環境に優しい社会や人々の豊かな暮らしに役立つ製品を製造している。2018年11月に「VISION 2030」を発表し、目指す姿として「世界で輝くスペシャリティケミカル企業」を掲げた。2019年には「VISION 2030」に基づき、オープンイノベーションの促進による新規事業の創出を目指して、新川崎に新拠点KH i-Labを開設。異業種交流やビジネスマッチング展開など、外部との技術協創を図り、スピード感をもった新規事業創出に取り組んでいる。そのタイミングで、ILSにも2019年より参加。化学とさまざまな領域との協業という広範なスコープで臨み、既存の石油化学だけにとどまらず、サステナブル観点からのバイオ領域への探索を行っている。
※東証の市場再編に伴い、2022年4月よりプライム市場へ移行

アクプランタの背景と狙い

2018年2月設立のアクプランタ株式会社は、「Greenfulness-気候変動を、ともに生き抜く-」をミッションに、植物をさまざまな環境ストレスから守るバイオスティミュラント資材を開発する、理化学研究所発のアグリバイオベンチャー。バイオスティミュラント資材とは、植物やその周辺環境が本来持つ自然な力を活用することで、植物のストレスへの耐性、収量と品質、収穫後の状態、貯蔵などについて良好な影響を与えるもの。農業分野における気候変動の影響や減農薬・減化学肥料意識の高まりを背景に、欧米など世界中でニーズが拡大している。アクプランタでは2019年より、酢酸が植物の乾燥耐性を高めるメカニズムをもとに開発したバイオスティミュラント資材「Skeepon(スキーポン)シリーズ」を日本国内で累計1万リットル以上販売。ILSには投資会社からの推薦で、協業などビジネスチャンスを求めて2021年3月に初参加した。

提携内容

当日、20分間のパワーマッチングでは、アクプランタ側が資料をもとに事業の現況や未来像を語った。同社のSkeeponは、肥料でも農薬でもない新しい農業製品であり、これにより植物自体の活性を高めて、高熱や乾燥に対処できること。農林水産省の「みどりの食料システム戦略」で示された減農薬・減化学肥料の方針にも沿っていること。すでにトマト栽培で従来の5分の1の水量で育てられる結果が出ており、植物工場で生産性を上げられる可能性が見込めること。現在の植物工場では太陽光を代替する電灯の熱をクーリングするにも電気が使われ、エネルギーロスが大きく改善が望まれていること。さらに、限定的な空間での高密度な生産に適していることで、将来は宇宙空間での展開も見込めることなど、KHネオケム社はアクプランタ社の事業に大きな魅力を感じた。加えて、Skeeponの主成分である酢酸とKHネオケム社の主力製品である環境配慮型エアコン向け潤滑油原料の「有機酸」という共通項を見出せたことも背中を押した。

そこで、後日すぐにアクプランタ社を訪問、以後も頻繁にミーティングを行い、互いの理解を深めた。新規バイオスティミュラント化合物やバイオマス由来化学素材の開発など協業領域と具体的な共同研究について議論を重ね、会社としての成長性と協業の広がりが期待できることから、投資を決断。KHネオケムでは初のベンチャー投資案件だったため、財務・法務部門等とも連携してスキーム作りから取り組み、スピード感を持って実現させた。この資金は、米国・中国をはじめとする海外での実証実験等に使われる予定で、共同研究等についても継続して検討していく。

KHネオケムの提携ストーリー(ILS2021)

ILSパワーマッチング

商談リクエスト数※1

53

商談数※2

37

後日に再商談した社数
事業提携に至った社数

4

2

  • ※1) 大手とベンチャー双方からの商談リクエスト(商談依頼)合計。
  • ※2) ILS当日に、事前のリクエストによってマッチングした相手と商談した数。
KHネオケム株式会社 イノベーション戦略部
伊藤 康平氏

ILSは2019年に初参加しましたが、当時はKH i-Labを開設して日も浅く新規事業創出の取り組みを始めたばかりで、手探りの活動であったため、協業に繋がる結果を得られませんでした。そこで2回目となる2021年は参加自体を再検討しましたが、ILS主催者のアドバイスもあり、オープンイノベーションに向けた活動は継続が重要だと参加を決断。若手メンバーを中心に個人の興味や背景を起点に探索したところ、アクプランタ社との出会いに繋がりました。

アクプランタ株式会社 代表取締役社長
金 鍾明氏

これまでビジネスコンテストなどで名刺交換をしても、実際のビジネスにつながる確率は限定的でした。また、ILSに参加する大手企業には、当社事業に関連する農業系のイメージもあまりもてなかったため、さほど期待せずに参加したのですが、実際には参加の大手企業担当者の協業に向けた熱意が強く、マッチングする事務局のケアも細やか。当日会場での対話がその場限りでなく、後につながっていくのは期待以上でした。