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提携事例

次世代の無人店舗サービス「BAITEN STAND」の共同開発

公開日:2021年12月6日 / 執筆:ILS事務局

株式会社チームAIBODとグローリー株式会社は2021年6月に、新たなキャッシュレスシステムの実用化によるサービス開発を共同で開始。チームAIBOD独自の設計コンセプト「AIフュージョン」を用いた精度の高い画像認識技術に、グローリーの顔認証による手ぶら決済サービス「BioPay(バイオペイ)」を組み合わせ、次世代の無人店舗サービス「BAITEN STAND」の開発を開始した。

グローリーの背景と狙い

1918年創業のグローリーは国産初の硬貨計数機を世に出して以来、通貨処理機のパイオニアとして「認識・識別」「メカトロ」技術をコアに、お金を見分け、数え、束ねる商品を数多く開発。世界100カ国以上の金融機関や流通店舗などで、業務の効率化・省力化を展開してきた。さらにコア技術の研鑽とオープンイノベーションの推進で、新たなサービスの提供を目指している。2021年から3ヵ年の中期経営計画ではスタートアップとの協業強化を打ち出し、2021年3月のILSに初参加。「ILSは幅広い領域のスタートアップと出会え、事前の開示情報をふまえてマッチングの精度も高いのが魅力」と藤田氏。「TOKYO CHALLENGE 100(T-100)」にて3つのテーマでスタートアップを募集し、「スマホ等の汎用端末での生体認証技術」でチームAIBODの提案を採用。グローリーで推進中の顔認証決済を、同社単体ではリーチできない無人店舗業態にアプローチするため、協業に踏み切った。

チームAIBODの背景と狙い

2016年に福岡で創業したチームAIBODは、「使える」AIデザインとAIシステム開発をコンセプトにコンサルティングからシステム開発までワンストップで提供。製造業や通信・エネルギー業界へのソリューション提供を通じて高度な知見と開発技術を蓄積してきた。アカデミアとの連携や、中央省庁が企画するマッチングイベントにも積極参加していたが、大手企業からの受託開発から一歩踏み込んで協業することを求め、2019年ILSに初参加。マッチングした10社中4社と継続的な関係を持て、手ごたえを感じて臨んだ2021年3月のILSではTOKYO CHALLENGE 100にて顔認証決済技術「BioPay」を有するグローリーが募ったテーマに、チームAIBODの持つ、最小の学習データで高精度の実装が可能な設計コンセプト「AIフュージョン」による無人キャッシュレス店舗ソリューションが合致した。「ILS開催当日前に数回メッセージ機能を通して意見交換し、本気度が感じられていたのも協業の背中を押しました」と松尾氏。

提携内容

チームAIBODの無人キャッシュレス店舗ソリューションは、購入したい商品をカメラの付いたボックスに置くと画像認識で商品が特定され、決済に進めるというもの。バーコードやICタグの読み取りが不要なので、導入コストが抑えられ、店舗側の商品登録は約30秒、購入する際の商品判別は数秒と、手間がかからないメリットがある。登録された買い物客のみが利用することを想定し、「自販機以上コンビニ以下」の使い勝手を目指していた。一方、グローリーの手ぶら決済サービス「BioPay」は顔認証技術により、一度顔の登録を済ませれば、店舗に設置したタブレット端末に顔をかざすだけで支払いが完了するという開発中の決済サービスで、両社が協業を開始した2021年6月には近畿大学のキャンパス内店舗で実証実験を行っていた。

そこで両社ではビジネス会議/技術者会議をそれぞれ1~2週ごとに開催して、市場開拓先の模索と具体的な開発工程を並行して進めていった。そうして両社の技術を合体して「BAITEN STAND」という製品名で展開するが、まずは一部のモバイル決済に対応している。これを顔認証決済に対応させることで、工場内の販売店などへの展開を狙う。その際には、グローリーが社員食堂の精算システムで取引を行う法人に無人店舗運営を提案するなども見据え、協業により可能性が広がっている。また、モバイル決済を苦手とする高齢者にとっても、コロナ禍で体温測定のために画面を覗き込むしぐさには馴染んでいるため、BioPayでの決済も抵抗なく受け入れられると見込める。将来的には、過疎地域における無人販売展開も期待できるとの考えだ。

グローリーの提携ストーリー(ILS2021 TOKYO CHALLENGE 100)

ILS2021 TOKYO CHALLENGE 100

提案数※1

43

商談数※2

3

後日に再商談した社数
事業提携に至った社数

3

1

  • ※1) ILS2021 TOKYO CHALLENGE 100スタートアップからの提案数。大手とベンチャー双方からの商談リクエスト(商談依頼)合計。ILSでは参加ベンチャー企業を様々な検索軸で検索し、リクエストを行う事が出来ます。また、ベンチャー企業からも提案があります。この仕組みにより、事前に精度の高いマッチングが可能となります。
  • ※2) ILS当日に、事前のリクエストによってマッチングした相手と商談した数。
グローリー株式会社 ビジネスイノベーションセンター 新規事業企画部 部長
藤田 裕一氏

ニッチトップ系の当社にとって、単独でスタートアップに連携を呼びかけるのは難しいもの。ですから大手企業側からテーマを出して募集できるILSの仕組みは有難いものでした。こうしたスタイルのマッチングイベントは多くないので、B to B企業にはお勧めです。事前に開示する概要を詳細まで出せないと、本来マッチしない候補まで挙がってはきますが、こちらから探索する意気込みで今後も参加していきたいと思います。

株式会社チームAIBOD 代表取締役社長
松尾 久人氏

ILSでは大手企業が求めるテーマに対してスタートアップからオファーをしますが、そのために時間をかけて準備することが、改めて自分たちの技術を見直して研ぎ澄ませる、良い機会となります。その場限りのマッチングだけでなく、そうした入念な準備を行って臨む仕組みだからこそ、マッチング自体やその後、実際に協業に至る確率も高いのでしょう。また、対面して本気度が感じられるほど、後の連携もうまく継続していくように思います。