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提携事例

アトナープ株式会社と古河電気工業株式会社は2021年5月に共同開発契約を締結。アトナープが開発するライフサイエンス向け測定プラットフォーム「ATON-360」の実用化に向け、古河電気工業が総合的なフォトニクス技術を提供し、フォトニクス部品(光学モジュール)を供給。共にATON-360の高精度化・小型化・低コスト化等を進め、診断機器の普及を目指している。

古河電工の背景と狙い

1884年創業の古河電気工業では、4つのコア技術「メタル」「ポリマー」「フォトニクス」「高周波」を強みとして、新しい価値提案および社会課題解決を目指してオープンイノベーションを推進。Fun Lab®やSVIL(Silicon Valley Innovation Laboratories)といった国内外拠点を備えながら、他企業や官庁・自治体、大学と協業や連携を進めている。その一環で、スタートアップ企業との協創を目指し、2019年よりILSに参加。同社のコア技術を活用できそうないくつかの重点領域でパワーマッチングを実施。その一つがライフサイエンス/ヘルスケア領域で実績のあるアトナープだった。奈良氏自身が光技術のエンジニアであり、同社の光通信分野の技術をうまく活用できる分野を検討するなかで、アトナープからのアプローチに興味を持って面談に臨んだという。「ライフサイエンスは当社には飛び地といえる領域ですが、当日の短い時間でも技術者同士で意気投合し、協創への手ごたえを感じました」

アトナープの背景と狙い

2009年創業のアトナープは、米国・インドにも拠点を持ち、高度な光学測定技術とソフトウェア解析プラットフォームを組み合わせることで、組成分析のデジタル化をリードする革新的なプラットフォーム開発を行うスタートアップ企業。厳格な製造モニタリングが求められる半導体や医薬品製造ライン向けに超小型分析機器を販売するなかで、大手企業との協業を図るために投資家からの紹介で、2017年よりILSに参加。古河電気工業とのマッチングに臨んだ2019年は、一緒に技術開発を進める協力関係を築けることや、全く新しい市場をドライブしていることといった条件をもとに、3社に面談をオファーした。そのなかでも古河電気工業は面談の時点で、光による組成分析技術の難しさを熟知しており、アトナープの技術力を高く評価。面談を行った井上氏は「当社の実績や蓄積している分析データなどに興味と共感をもってくれたため、その場で協業への手ごたえが感じられました」という。

提携内容

両社が社会実装を目指す「採血なしに血糖値を調べる測定装置」の原理原則はアトナープでほぼ確立されていた。その「ATON-360」は高度な光学測定技術とソフトウェアを搭載し、血液検体に含まれるあらゆる成分を試薬不要でリアルタイムに定量が可能になる。従来は検査会社に依頼して患者は再診で結果を聞く必要のある血液検査が、採血不要で光により即時に結果をふまえた診断が可能となる。この普及を進めるために、古河電気工業の持つ複数の技術を組み合わせて「小型化・低コスト化・量産化」を目指す。

現在は米国で古河電気工業の開発部門とアナトープのリサーチャーが協働して、小型化に向けた改善プロセスを進めている。進捗は、週1回の定期ミーティングで確認。もともと会議テーブル大だった装置のサイズが、現在は小型プリンター大にまでなっており、両手に乗るサイズのデバイスの発売を見込んでいる。さらに低コスト化・量産化により、家庭への普及や医療後進国への普及も見据える。「まず医療機関での継続モニタリングや臨床現場での即時検査を浸透させ、やがて『検査のデモクラタイズ』を世界にもたらしたい」とマーシー氏はいう。

また、従来の検査では特定の項目に関して試薬で確認し、その数値しか残らないが、「ATON-360」では血液検体データをデジタル化するため、波形で「全ての情報」が保存可能になる。たとえば将来、ある疾患との関連が発見された項目などについて、過去にさかのぼって確認することもできる。「採血なしでその時点の健康状態が全て分かるのがゴール。未病改善など、病気の予防に大きく貢献します」と井上氏は語る。

古河電気工業の提携ストーリー(2019ILS)

ILSパワーマッチング

商談リクエスト数※1

22

商談数※2

27

後日に再商談した社数
事業提携に至った社数

11

1

  • ※1) 大手とベンチャー双方からの商談リクエスト(商談依頼)合計。ILSでは参加ベンチャー企業を様々な検索軸で検索し、リクエストを行う事が出来ます。また、ベンチャー企業からもリクエストがあります。この仕組みにより、事前に精度の高いマッチングが可能となります。
  • ※2) ILS当日に、事前のリクエストによってマッチングした相手と商談した数。
古河電気工業株式会社 コーポレート統括本部 ソーシャルデザイン統括部 新事業創出部 部長
奈良 一孝氏

当社ではいろいろなオープンイノベーションの取り組みを行ってきましたが、マッチングにおいては場を作るだけでは何も生まれません。まず自社が何をしたいのかがあったうえで、どうやってそれを進めるのかを考えないと、物事は進まないのです。いろいろやってみて、それが分かりました。ILSでは現実的なところから話を始められるので、マッチング以降に協業を進めていくのもスムーズです。今後も毎回期待して参加していきたいと思います。

アトナープ株式会社 代表取締役社長 兼 CEO
プラカッシュ マーシー氏

スタートアップ企業にとってILSは、まず参加させてもらう段階で一定の水準を求められ、会期中には目的を持って要望があった相手とのみパワーマッチングが行えるという、2段階のスクリーニングがあり、確実性の高いイベントです。また、パワーマッチングとピッチ登壇、必要に応じてブース出展と充実したプログラムがあるため、その3日間に向けて1年間準備しているようなもの。その甲斐が十分にあります。