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提携事例
音声認識AIソリューションの普及に向け資本提携及びグループ子会社との販売代理店契約を締結
Hmcomm株式会社と株式会社ウィルグループは、2018年3月、資本提携とともにウィルグループ子会社で人材サービスを手がける株式会社セントメディアとHmcommが販売代理店契約を締結。Hmcommが開発したコールセンター向け音声認識AIソリューション「VContact」を、セントメディアが顧客であるコールセンターへの導入を図る体制を構築した。
ウィルグループ/セントメディアの背景と狙い
セントメディアは、20年近く、主に全国のコールセンターへの人材派遣や紹介を手がけてきている人材サービス会社。当該領域においてもAIやロボティクスが進展していく中、人材の提供だけでは顧客への価値提供が困難となることが明白な情勢となった。人材そのものの提供にこだわって将来のポジションを失う恐れがあるのならば、いち早く自らテクノロジーにリーチし、有利なポジションを獲得すべきとの課題認識に至る。
そこで、顧客にテクノロジーを含めたトータルソリューションを提供していける体制を構築すべく、提携先としてのベンダーを探していた。ウィルグループには、持株会社としての機能のほかグループ各社とシナジーのあるスタートアップ等へのCVCを行うミッションがあり、その投資先を探していた。
Hmcommの背景と狙い
国立研究開発法人産業技術総合研究所の技術移転ベンチャーとして、「「VContact」」を含む音声認識AIプラットフォーム「The VOICE JP」を開発・提供しているHmcomm。「VContact」は、そのコールセンター向けソリューションである。
オペレーターとカスタマーの会話を音声認識技術によりテキストデータ化し、的確なFAQをオペレーターに表示することにより、会話を保留しての上席確認などを不要にすることでロス時間を削減。それとともに、顧客満足度も向上させる価値を提供する。同社は、こうしたプロダクトの販売や資金提供を受ける提携先を常に探していた。
提携内容
上記のニーズを持った両社は、2017年10月末に開催されたILSのパワーマッチングで、初めて商談を行う。ウィルグループおよびセントメディアとしては、コールセンターのオペレーター業務を大幅に効率化できる「VContact」はまさに探し求めていたプロダクトで、“一目ぼれ”の状態だった。
一方、ラブコールを受け取った形のHmcommとしては、全国のコールセンターという販路を持ち、コールセンター業務に精通しているセントメディアとの提携で、強力な販売力およびマーケットイン的に製品の機能を磨いていく情報収集ルートが得られるメリットを確信。さらに、上場企業であるウィルグループのCVCを利用できるという一挙両得のメリットが得られることになった。
この合致度の高さから、双方の責任者による2度の会合を経て、同年12月末という短期間で投資および業務提携を決定。諸調整を経て、翌18年3月末から実行フェーズに入った。
セントメディアの責任者として、コールアンドオフィスデザイン事業部営業推進部事業開発グループリーダーの田村佳士氏が9月末までHmcommに常駐し、「VContact」の機能などの理解とともに同社の営業会議に参加し、緊密に営業戦略の策定を進めた。さらに、ウィルグループのオウンドメディアで「VContact」の導入事例を紹介するなどコンテンツマーケティングも実施。10月から田村氏はセントメディアに戻り、社内で「VContact」の販売体制を整備した。
以降、2019年3月までの半年間で、既に複数の顧客からの導入が決まっている。今後はセントメディアからのHmcommへの常駐メンバーを増員し、販売協力体制を強化する構えだ。
ウィルグループの提携ストーリー
- ※1) 大手とベンチャー双方からの商談リクエスト(商談依頼)合計。ILSでは参加ベンチャー企業を様々な検索軸で検索し、リクエストを行う事が出来ます。また、ベンチャー企業からもリクエストがあります。この仕組みにより、事前に精度の高いマッチングが可能となります。
- ※2) ILS当日に、事前のリクエストによってマッチングした相手と商談した数。
株式会社ウィルグループ インキュベーション本部 マネージャー 森 雅和氏
労働人口が減っていく中で、テクノロジーへのシフトは不可欠の情勢です。そこで、自社内でも当該セクションを設けて研究開発を進めていますが、それだけでは追いつきません。そこで、CVC先としてシナジーを発揮できる外部の力を借り、スピードアップを図るべく、ILSに参加しました。
そんな当社にとって、ILSのパワーマッチングで次々といろいろなベンチャーに会える点がありがたいです。おかげで、Hmcommさんというベストマッチの相手が見つかりました。「VContact」はサブスクリプションモデルなので、導入先を増やすことで収益基盤が厚くなるメリットも感じています。
現在は、コールセンター向けのプロダクトで提携していますが、音声認識テクノロジーは汎用性が広いので、Hmcommさんとは今後、当グループの事業の多様な局面で連携を広げて行けると考えています。
Hmcomm株式会社 代表取締役CEO 三本 幸司氏
当社のようなスタートアップは、販売ルートや資金調達先を探すに当たり、大手企業とダイレクトに会って交渉する機会を持つことは非常に困難です。そうした中で、ILSのように大手と直接コンタクトできる場は大変貴重です。
ご縁ができたセントメディアさんからさっそく田村さんに来ていただき、当社の社員と全く同様の立場で営業会議にも参加してもらい、あらゆる情報をオープンにして一緒に営業戦略を考えてもらっています。当社に来てから、私は「田村!」と社員同様呼び捨てにしているぐらい、溶け込んでくれています(笑)。非常に緊密な協業体制が構築できていると実感していますが、今後常駐者を増やし、さらに強化していくことにしています。