スタートアップ総力創出パッケージとは?日本成長戦略2026の3本柱と5つのポイントを解説

オープンイノベーション

2026年7月、日本成長戦略が閣議決定されました。

このなかでスタートアップ関連の施策は、「スタートアップ総力創出パッケージ〜イノベーションを生み出す、育てる、実装する〜」(2026年5月20日)として整理されています。

本記事では、スタートアップ経営者や新規事業・オープンイノベーション担当者が押さえておきたいポイントをご紹介します。

なぜ今、この政策なのか

パッケージの「現状と課題」では、国内のスタートアップ数は約25,000社に増加し、大学発スタートアップも3年間で1.5倍になるなど、エコシステムの裾野拡大が確認されています。

一方で、次のような課題も指摘されています。

ユニコーン数や資金調達額については、「5か年計画」の目標にはまだ遠く、我が国を世界に伍するスタートアップエコシステムとするためには、スケールアップのための成長資金供給の強化が引き続き大きな課題である。

裾野は広がったが、規模の大きい成長企業がまだ少ない。この課題認識が、今回のパッケージの出発点になっています。

パッケージの3本柱

「スタートアップ総力創出パッケージ」は、次の3本柱で構成されています。

  • 柱1:スタートアップのスケールアップ
  • 柱2:ディープテック・スタートアップの支援
  • 柱3:地域の経済社会を担うスタートアップの創出・育成

目標(KPI)としては、次の2点が掲げられています。

  • スタートアップへの投資額を2022年度から5年後の2027年度に10倍を超える規模にする(10兆円規模)
  • ユニコーンを100社創出し、スタートアップを10万社創出する

なお、これらのKPIは今回新しく設定されたものではなく、資料では「2027年度までの残りの期間、『5か年計画』で掲げた目標の達成に向けた取組を続ける」とされています。2022年策定の「スタートアップ育成5か年計画」から引き続き掲げられている国家目標です。

ポイント① SBIRが抜本強化される

SBIR(Small/Startup Business Innovation Research)は、パッケージの中で次のように位置付けられています。

スタートアップ等による研究開発を促進し、その成果を円滑に社会実装し、それによって我が国のイノベーション創出を促進するための制度。

今回の強化策として、資料には次のように記載されています。

初期需要創出のため、スタートアップへの技術開発支援(補助等)を行うSBIR制度を抜本強化し、「戦略製品・技術等政府実装加速化プログラム」など政府の本格調達につなげるアンカーテナンシー型の試験導入(委託等)の新たな枠組の創設を検討。

技術開発を進めた後、多くのスタートアップが次に直面するのが事業会社や自治体との連携や本格的な社会実装です。ILSには、そうした実証・事業化を検討する大企業が多数参加しています。

制度の詳細を見ると、SBIRは「研究開発(フェーズ2)・大規模技術実証(フェーズ3)によって開発された技術・製品等の事業化に係る取組の一つとして政府調達が掲げられている」段階的な仕組みです。大規模技術実証支援(フェーズ3)については、これまで文部科学省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省の5省で計120件のプロジェクトが採択されており、今回のパッケージではこの枠組みの見直し・拡充も検討するとされています。

ポイント② スケールアップ支援が本格化

柱1「スタートアップのスケールアップ」の狙いは、資料では次のように説明されています。

スケールアップを加速するエコシステムの構築にあたっては、グロース・ファイナンスの強化が最重要である。(中略)加えて、海外からの投資、スタートアップ、人材の誘致を進め、世界の資金・人材・技術がダイナミックに循環するグローバルなエコシステムへの接続を強化する。

具体的な施策としては、次のようなものが挙げられています。

  • 日本政策投資銀行(DBJ)や産業革新投資機構(JIC)による資金供給強化
  • GPIFや大学ファンドによるベンチャーキャピタル(VC)ファンドへの投資拡大
  • 東証グロース市場の上場維持基準見直し、プロマーケットの活性化
  • 国際協力銀行(JBIC)による海外市場進出時の資金供給、在外公館・JICAによる伴走支援
  • グローバル・アクセラレーション・プログラムやJ-StarXを通じた海外展開支援

海外展開や資金調達の拡大は、自社だけで進めるのは容易ではないテーマです。ILSでは海外企業や国内大企業との商談機会を通じて、その足掛かりを得ることができます。

ポイント③ ディープテック支援が拡充

パッケージでは、ディープテックを次のように定義しています。

ディープテックとは、人工知能(AI)、バイオ等、特定の自然科学分野での研究を通じて得られた科学的な発見に基づく技術であり、その事業化・社会実装を実現できれば、国や世界全体で取り組むべき経済社会課題の解決等、社会に大きなインパクトを与えられるような潜在力のある技術を指す。

支援は「17の戦略分野」に重点化されており、資料ではそのうち代表例として次の分野が挙げられています。

  • AI分野(計算資源補助やデータセット構築を行う「GENIAC」事業など)
  • GX・環境領域
  • 創薬先端医療領域
  • フードテック分野
  • フュージョンエネルギー分野

これらの分野について、資料では次のように述べられています。

ディープテック分野は研究開発に長期間を要し多額の資金が必要になりリスクも高いことから、開発段階から事業化・量産化・海外展開までを見据えた一気通貫の支援を17の戦略分野に重点化しつつ、抜本的に強化する。

ディープテック領域は、実証・事業化のパートナーとなる企業を見つけること自体が難しいテーマです。ILSには、こうした技術の事業化を検討する大企業やCVCも参加しています。

ポイント④ 地域スタートアップへの期待

柱3「地域の経済社会を担うスタートアップの創出・育成」の背景として、資料では次のような地域間格差が指摘されています。

大学発スタートアップの創業数は、その約6割が東京都以外の地域において増加するなど、地域におけるスタートアップ創出の裾野は着実に拡大している。他方、資金調達額の約8割は依然として東京に集中しており、成長機会の地域間格差が存在している。

具体策としては、次のようなものが挙げられています。

  • アントレプレナーシップ教育の充実、「未踏」「AKATSUKI」「NEP」による起業家育成
  • 高専発スタートアップ支援(国立高専機構本部へのスタートアップ支援組織設置など)
  • 自治体・地域金融機関と連携した「ローカル10,000プロジェクト」の拡充
  • 自治体によるスタートアップ調達強化(4号随契の活用促進など)
  • スタートアップ・エコシステム拠点都市の強化(2025年6月に第2期として5都市を追加選定)

地域発スタートアップが成長するためには、地域内だけでなく、大企業やVCとの接点を持つことも重要になります。

ポイント⑤ オープンイノベーションはさらに重要になる

パッケージの柱2には、大企業やアカデミアとの連携を通じた事業化支援が随所に盛り込まれています。例えば、大学発スタートアップの支援について、資料では次のように述べられています。

大学等がハブとなってスタートアップと大企業の協働を促進する新たなオープンイノベーションの形成により創業後の成長支援機能を強化することで、大学発スタートアップの着実な成長を実現し、研究力強化及び新たなスタートアップ創出につなげる好循環を構築する。

また、大企業による調達についても、次のように記載されています。

スタートアップの製品等の社会実装を促進するため、市場創出を見据えた、スタートアップ製品等の本格調達・購買の実現可能性を検証するための実環境での実証、研究開発を支援する事業を通じて、ディープテック・スタートアップと大企業等が共同して、性能最適化やコスト低減施策等を進め、最終製品化、事業期間後の本格調達に繋げる。

ここから先はILSとしての見方です。 政府はスケールアップや社会実装を重視する方針を明確にしていますが、その実現には、実証の場・販路・共同開発体制を持つ大企業との連携が欠かせません。政策の後押しを実際の成果につなげるうえで、大企業とのオープンイノベーションの重要性は、これまで以上に高まっていくとILSでは考えています。

ILSが果たす役割

こうした流れの中で、Innovation Leaders Summit(ILS)が担う役割は大きくなっています。

ILSは、大企業・スタートアップ・VC・大学・研究機関・行政などが一堂に会する、アジア最大級のオープンイノベーションイベントです。

単なる展示会ではありません。事前のPower Matchingによって、目的に応じた大企業との商談を実現できることがILSの特徴です。毎年、多数の大企業・スタートアップ・VCが参加し、事前マッチングを通じて具体的な商談機会が創出されています。

  • 大企業との商談機会
  • VCとの出会い
  • 海外企業との接点

まとめ

「スタートアップ総力創出パッケージ」は、研究開発から社会実装までを一貫して支援する方向性を明確に示した点が大きな特徴です。スケールアップ、ディープテック支援、地域振興の3本柱を通じて、2027年度までに投資額10兆円規模、ユニコーン100社、スタートアップ10万社という目標の達成を目指しています。

政策だけではスタートアップは成長できません。協業先・顧客・投資家との出会いがあって初めて、政策を事業成長へつなげられます。

大企業との協業機会を探している場合は、ILSのようなオープンイノベーションイベントを活用するのも一つの方法です。

ILSへの資料請求はこちら

よくある質問

日本成長戦略とは?

2026年7月に閣議決定された、日本の経済成長に向けた政府の総合戦略です。スタートアップ支援策は「スタートアップ総力創出パッケージ」として整理されており、スケールアップ支援・ディープテック支援・地域振興の3本柱で構成されています。

スタートアップ総力創出パッケージとは?

2026年5月20日にまとめられた、スタートアップ支援に関する政府の施策集です。「イノベーションを生み出す、育てる、実装する」を掲げ、スケールアップ、ディープテック支援、地域の経済社会を担うスタートアップの創出・育成の3本柱で構成されています。

SBIRとは?

Small/Startup Business Innovation Researchの略で、スタートアップ等による研究開発を促進し、その成果を社会実装につなげるための政府の支援制度です。研究開発(フェーズ2)、大規模技術実証(フェーズ3)を経て、政府調達につなげる仕組みが特徴です。

ディープテックとは?

AI(人工知能)やバイオなど、特定の自然科学分野の研究成果に基づく技術のことです。事業化・社会実装まで実現できれば、国や世界全体の経済社会課題の解決に大きなインパクトを与えられる潜在力のある技術を指します。

参考資料

  • 日本成長戦略(内閣官房):https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/nipponseichosenryaku/index.html
  • スタートアップ総力創出パッケージ(内閣官房、2026年5月20日):https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/nipponseichosenryaku/startup/startup_package.pdf

タイトルとURLをコピーしました